
こちらは、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)で観測した渦巻銀河「NGC 3981」。コップ座の方向、地球から約6500万光年先にあります。

真っ暗な宇宙空間を背景に、壮大な構造を広げるNGC 3981の姿が捉えられています。中心部の明るいふくらみである銀河バルジを取り巻くのは、高温の若い星々が青く輝き、塵の豊富な暗い雲の帯と星形成領域が散りばめられた渦状腕(渦巻腕)です。
NGC 3981は地球に対して適度に傾いた姿勢で見えているため、天文学者は超大質量ブラックホールが潜む高エネルギーな中心部を直接観察することができます。
銀河の外周部に目を向けると、渦状腕の一部が外側に向かって引き伸ばされ、宇宙空間に溶け出していくように見えます。ESOによれば、この歪んだ構造は、過去に別の銀河と接近するなど、重力を介した相互作用を起こした際の影響によるものだと推測されています。
画像に偶然写り込んだ小惑星の軌跡
NGC 3981の美しい姿や周囲の星々だけでなく、この画像にはもう一つ興味深いものが写り込んでいます。画像の上部(銀河の右上付近)を横切る、淡い線がわかりますでしょうか。これは、NGC 3981の観測中にたまたま視野を横切った、太陽系の小惑星の軌跡です。
多くの場合、こうした天体画像は異なる波長の光を通す複数のフィルターを使って取得したモノクロ画像を着色・合成して作られます。この小惑星の軌跡が青、緑、赤に分かれているのは、それぞれのフィルターを使って撮影したタイミングの違いを、偶然にも色として可視化しているためです。
魅力的な画像を撮影する「宇宙の宝石」プログラム
VLTによるNGC 3981の観測は、ESOの「Cosmic Gems(宇宙の宝石)」プログラムの一環として実施されました。このプログラムは、科学観測の空き時間を活用して、教育やアウトリーチを目的とした魅力的な天体画像を取得する取り組みです。取得されたデータは将来の科学的な研究に役立つ可能性を考慮し、天文学者も利用できるようにアーカイブされています。
冒頭の画像はESOから2018年9月12日付で公開されており、ESOのSNSアカウントが2026年5月27日に改めて紹介しています。
本記事は2019年4月23日公開の記事を再構成したものです。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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