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愛称「ドラキュラのチビート」 ハッブル宇宙望遠鏡が観測した“ケフェウス座”の原始惑星系円盤

こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した天体「IRAS 23077+6707」。

ケフェウス座の方向、約978光年先にあります。

見る人によって異なる印象を受けそうな、不思議な姿。筆者はリボンで留めたシルク布の束を連想しました。

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した「IRAS 23077+6707」、愛称「Dracula’s Chivito(ドラキュラのチビート)」(Credit: Image: NASA, ESA, STScI, Kristina Monsch (CfA); Image Processing: Joseph DePasquale (STScI))
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した「IRAS 23077+6707」、愛称「Dracula’s Chivito(ドラキュラのチビート)」(Credit: Image: NASA, ESA, STScI, Kristina Monsch (CfA); Image Processing: Joseph DePasquale (STScI))】

ちなみに、名前の「IRAS」は赤外線天文衛星「IRAS」の観測データをもとにしたカタログに収録されていることを示していますが、研究者からは「Dracula’s Chivito(ドラキュラのチビート※)」という愛称でも呼ばれています。

NASA=アメリカ航空宇宙局によると、IRAS 23077+6707は原始惑星系円盤のひとつ。

原始惑星系円盤は、若い星を取り囲むガスと塵(ダスト)でできた円盤で、内部で塵が集積して惑星が形成されると考えられています。

IRAS 23077+6707の場合、私たちは円盤をほぼ真横から観測していて、星そのものは円盤に隠されています。そのため、円盤の縁にあたる部分が暗い帯として見えているわけです。

驚くべきはその大きさです。NASAによると、IRAS 23077+6707の原始惑星系円盤は木星10~30個分の質量があり、幅は約4000億マイル=約4300天文単位もあるといいます。

太陽系では、海王星の外側にある太陽系外縁天体が多く分布する範囲は幅が約100天文単位とされていますから、その40倍以上もの大きさがあることになります。

また、画像では円盤から右上に向かって、対になった2本の尾のような構造が伸びていますが、反対側の左下にそのような構造はみられません。

こうした非対称な構造を持つことに研究者は驚いたといい、最近起きた物質の流れ込みや周囲との相互作用など、円盤を形作る動的プロセスの存在が示唆されるということです。

冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」で取得したデータを使って作成されたもので、NASAから2025年12月23日付で公開されています。

※…チビートはウルグアイの国民食といえるサンドイッチで、具材に薄切り牛ステーキが用いられます。「Dracula’s Chivito」というニックネームは、IRAS 23077+6707で大きな原始惑星系円盤が見つかったことを2024年に論文で報告した研究チームが、非対称性の構造をドラキュラの「牙」に見立てつつ名付けました。この論文の筆頭著者Ciprian Bergheaさんはドラキュラ伯爵で知られるルーマニアのトランシルバニア出身、共著者のAna Mosqueraさんはウルグアイ出身だということです。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典