
スパッタリング(※)で描いた星空や天の川のようにも見える、こちらの画像。
実は、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した現実の銀河「NGC 2188」の姿です。

はと座の方向、約2400万光年先のNGC 2188は、地球に対して円盤部を真横に向けた位置関係にある、いわゆる「エッジオン銀河」のひとつ。
星々が密集した光の帯のようにしか見えませんが、ESA=ヨーロッパ宇宙機関によれば、天文学者はNGC 2188を棒渦巻銀河に分類しています。
棒渦巻銀河とは、中心部に棒状の構造が存在する渦巻銀河のこと。私たちが住む天の川銀河をはじめ、渦巻銀河のうち約3分の2には棒状構造があるとされています。
ちなみに、天の川銀河の想像図でよく見るような、地球に対して円盤部が正面を向けた位置関係にある銀河は「フェイスオン銀河」と呼ばれます。
フェイスオン銀河と比べて渦巻腕(渦状腕)の様子を観測しづらいものの、銀河円盤に対して垂直方向に広がる構造を調べるには、NGC 2188のようなエッジオン銀河に観測上の利点があるのです。

冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で取得したデータを使って作成されたもので、ESAから2020年8月31日付で公開されました。
本記事は2020年9月1日公開の記事を再構成したものです。
※…ブラシで網をこするなどして、絵の具を霧状に細かく飛散させる絵画の技法。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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