
NASA=アメリカ航空宇宙局は2025年9月17日付で、NASAの太陽系外惑星アーカイブ(NASA Exoplanet Archive)に登録されている確認済み太陽系外惑星の数が6007個に到達したことを発表しました。
恒星を公転する太陽系外惑星が見つかってから30年目

1995年、ペガスス座の方向・約50光年先の太陽に似た恒星「ペガスス座51番星」を公転している太陽系外惑星「ペガスス座51番星b」が発見されました。
質量が木星の約0.46倍以上と推定されるペガスス座51番星bは、史上初めて見つかった「恒星を公転する太陽系外惑星」として知られています。この惑星を発見したミシェル・マイヨール(Michel Mayor)さんとディディエ・ケロー(Didier Queloz)さんは、2019年にノーベル物理学賞を受賞しました。
恒星以外の天体を含めれば、おとめ座の方向・約2000光年先のパルサー「PSR B1257+12」を公転する2つの太陽系外惑星が1992年に見つかっています(後に3個目を1994年に発見)。
史上初の太陽系外惑星発見から33年、恒星を公転する太陽系外惑星が初めて見つかってから30年で、人類がその存在を確認した太陽系外惑星の数が6000個を突破したことになります。
その性質も多様で、恒星のすぐ近くを公転していて高温に加熱されている「ホット・ジュピター」と呼ばれる巨大ガス惑星や、2つの恒星を公転する惑星、それに十分な大気などの条件が整っていれば表面に液体の水が存在し得る「ハビタブルゾーン(※1)」を公転する惑星など様々です。
※1…大気を持つ惑星の表面に液体の水が存在し得る、恒星から一定の範囲にある領域。ゴルディロックスゾーンとも。



直接撮影された太陽系外惑星の数はとても少ない
「発見」とはいっても、直接撮影された太陽系外惑星の数は6007個のうち87個しかありません(NASA太陽系外惑星アーカイブの統計データから)。主星と比べて惑星は非常に暗く、明るい主星の光にまぎれてしまうからです。そのため、ほとんどの太陽系外惑星は主星の観測を通じた間接的な手法で見つかっています。
代表的な手法のひとつが「トランジット法」です。惑星などが主星(恒星)の手前を横切る現象を「トランジット(transit)」と呼びますが、この時に主星の一部が惑星などに隠されることで、主星の明るさはごくわずかながらも一時的に低下します。トランジット法は、このトランジットにともなう主星の明るさのわずかな変化を手がかりに、太陽系外惑星を間接的に検出する手法です。
トランジットを起こす太陽系外惑星は一定の周期で主星を公転しているので、繰り返されるトランジットを観測することで惑星の公転周期を知ることができます。また、トランジット時の主星の光度曲線(時間の経過にあわせて変化する天体の光度を示した曲線)をもとに、惑星の直径や大気の有無といった情報を得ることも可能です。
近年では、トランジットの周期に生じるわずかな変動をもとに、重力を介して相互作用する別の惑星を捜索する手法「トランジット時間変動法(TTV法)」も用いられるようになっています。
【▲ 参考:系外惑星のトランジットによって恒星の明るさが変化する様子を示した動画(Credit: ESO/L. Calçada)】
もうひとつの代表的な手法に「視線速度法」があります。太陽系外惑星が公転すると、主星も同じ周期で円を描くようにわずかに動きます(※2)。この様子を地球から観測すると、主星の光の色は地球に近付くように動く時は青っぽく、遠ざかるように動く時は赤っぽく、周期的に変化します。こうした色の変化を天体のスペクトル(波長ごとの電磁波の強さの分布)を得る分光観測を通じて検出することで、太陽系外惑星を間接的に検出する手法です。
※2…厳密に言えば、主星と惑星は共通の重心を公転しています。質量が小さいほうの惑星は大きな軌道を描きますが、質量が大きいほうの主星も小さな軌道を描くので、スペクトルの周期的な変化としてその動きを捉えることができます。
視線速度法の観測データからは、惑星の公転周期や最小質量を求めることができます。また、トランジット法では地球から見て主星の手前を横切る惑星(別の言い方をすれば、公転軌道が描く平面を横から見ることができる惑星)しか発見できませんが、視線速度法ではトランジットが観測できない惑星(地球から見て公転軌道が描く平面が傾いている惑星)を発見することも可能です。
【▲ 参考:系外惑星の公転にともなって主星のスペクトルが変化する様子を示した動画(Credit: ESO/L. Calçada)】
これからの太陽系外惑星探査はどうなる?

NASA太陽系外惑星アーカイブの確認済み惑星の数は、2022年3月に5000個を突破しました。それから3年半で6000個を突破したことからもわかるように、太陽系外惑星の発見数は増加する傾向にあります。
TESSが検出して確認を待っている太陽系外惑星候補の数は、2025年9月2日時点で7668個。ESA=ヨーロッパ宇宙機関が運用していた「Gaia(ガイア)宇宙望遠鏡」や、NASAが今後打ち上げを予定している「ナンシー・グレース・ローマン(Nancy Grace Roman)宇宙望遠鏡」の観測データからも数千個の惑星候補が新たに見つかると期待されていることから、発見数の増加傾向は今後も続くと予想されます。
「人類は孤独なのか?」「地球の他に生命を宿した惑星は存在するのか?」こうした根源的な疑問の答えを得るための観測を行っている望遠鏡のひとつが「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」です。
しかしNASAによれば、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はすでに100個以上の太陽系外惑星で大気の化学組成を調べるための観測を行っていますが、地球と同じくらいのサイズ・同じくらいの温度の惑星について調査を行うには新たな技術……具体的には主星からの光をさえぎりつつ惑星を観測するための装置「コロナグラフ」の高性能化が必要とされています。

ローマン宇宙望遠鏡に搭載されるコロナグラフは従来のものよりも性能が高く、最高の性能が発揮されれば「太陽を公転する木星」と同じような条件(主星の特性、惑星の軌道や温度)の惑星を直接撮影できると期待されています。
また、地球のような惑星でも検出できるコロナグラフを搭載した宇宙望遠鏡として、NASAは現在「ハビタブル・ワールド・オブザバトリー(Habitable Worlds Observatory)」と呼ばれるミッションの構想に取り組んでいるということです。
この30年ほどの間に大きく進展した太陽系外惑星探査。次の30年間ではどのような発見が待ち受けているのでしょうか。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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