
10月に入り、夏の暑さは影を潜め、朝夕には肌寒ささえ感じる季節となりました。
「天高く馬肥ゆる秋」という言葉の通り、湿度が下がって空気の透明度が増し、宇宙の深いところまで見渡せそうな、澄み渡った星空を楽しむことができます。
この言葉の後半にある「馬肥ゆる秋」とは、秋に馬が食欲を増し、肥えてたくましくなる季節を表しています。馬のたくましい姿は、実りの秋の象徴とも言えるのかもしれません。

今の時期は、星空にも馬の星座を見ることができます。
南の空の高いところを見上げると、4つの星が正方形に近い形に並んでいます。これが、秋の空の目印である「秋の四辺形」です。
この秋の四辺形の南西側に馬の頭、北西側に前足を表す星が位置しており、逆さになって空を駆ける馬の姿が描かれています。
これは、翼の生えた純白の天馬をかたどった星座「ペガスス座」です。
一般には「ペガサス」と発音されますが、星座名としてはラテン語読みで「ペガスス」と呼ばれています。
秋の四辺形を手がかりにすると、秋の星座をいくつか見つけることができます。
秋の四辺形の西側の星を結び、その線を空の低い方へ延ばしていくと、1等星のフォーマルハウトが見つかります。
この星は、秋の星空にける唯一の1等星で、名前の由来は「魚の口」です。
名前の通り、フォーマルハウトは「みなみのうお座」の口元に位置しています。すぐ上にある「みずがめ座」からこぼれる水を、口で受け止めているように見えます。
秋の空には、もうひとつ魚の星座を見ることができます。
秋の四辺形の南東側に、星が大きな「く」の字型に並んでいます。これは「うお座」の星の並びです。
2匹の魚がリボンのようなもので結ばれている様子が描かれており、神話では愛と美の女神アフロディーテと、その息子エロースが変身した姿であると語られています。
うお座の近くには土星があります。現在の等級は0.7等(※1)で、フォーマルハウトよりも明るく見えます。
惑星は恒星とは異なり、大気の影響を受けにくいため、ほとんどまたたかず、穏やかな光を放っているように見えるのが特徴です。
土星の英名は Saturn(サターン) といい、これはローマ神話の農耕・収穫の神 サトゥルヌス(Saturnus) に由来します。秋の澄んだ空にひときわ輝く土星は、豊かな実りを思わせる存在です。
天高く馬肥ゆる秋。夜空には、天馬の星座をはじめ、水や海にまつわる星座や、豊穣の象徴ともいえる土星が輝いています。
空の上にも、豊かな自然を思わせる世界が広がっているのですね。
秋の夜には、涼しい風に吹かれながら夜空を見上げ、星々の物語に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
※1…土星の等級は日本時間2025年10月15日0:00時点のもの(国立天文台暦計算室 今日のほしぞら参照)
※…星座や天体の見える方角や位置関係は2025年10月15日21時頃のものです
2025年10月21日、レモン彗星が地球に最接近

2025年10月21日、レモン彗星(C/2025 A6)が地球に最接近します。
この彗星は、2025年1月3日にアメリカ・アリゾナ州のレモン天文台で発見されました。
発見当初は、最も明るくなっても10等星程度にとどまると考えられていましたが、8月中旬ごろに急激に増光しました。
今後はさらに明るくなり、肉眼でも見える可能性があるという予測もあります。ただし、明るさの予測には不確定な要素が多く、期待ほどにはならないかもしれません。
レモン彗星は、公転周期が1000年以上という非常に長い周期を持つ彗星で、「長周期彗星」に分類されます。
次に地球に接近するのは西暦3421年とされており、この彗星を再び見ることができるのは、はるか未来の世代となります。そう考えると、今回のレモン彗星の接近は、まさに「一期一会」の天体ショーといえるでしょう。
レモン彗星は10月初旬にはおおぐま座付近を通過し、最接近のころには夕方の西の空、うしかい座のあたりに位置しています。
さらに増光することを願いつつ、その動きを追ってみてください。
文・編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- Flickr - Dimitrios Katevainis, C/2025 A6 (Lemmon) on 24 September 2025
- 国立天文台 - ほしぞら情報 東京の星空・カレンダー・惑星(2025年10月)
- 国立天文台 - 暦計算室 今日のほしぞら
- AstroArts - 2025年10月 レモン彗星が4等前後
- Wikipedia - レモン彗星
























