恒星「K2-290」(中央)を公転する2つの系外惑星と伴星の一つ(右上)を描いた模式図。恒星の自転方向と惑星の公転方向は矢印で示されている(Credit: Christoffer Grønne/Aarhus University)

恒星「K2-290」(中央)を公転する2つの系外惑星と伴星の一つ(右上)を描いた模式図。恒星の自転方向と惑星の公転方向は矢印で示されている(Credit: Christoffer Grønne/Aarhus University)

オーフス大学のMaria Hjorth氏、東京工業大学の平野照幸氏らの国際研究グループは、恒星「K2-290」を周回する2つの太陽系外惑星について、伴星の影響によって大きく傾いた円盤から形成されたとする研究成果を発表しました。今回の成果は、連星における惑星の形成を論じる上で重要な意味を持つとされています。

K2-290は「てんびん座」の方向およそ890光年先にあるF型星で、太陽と比べて直径は約1.5倍、質量は約1.2倍とされています。2019年、Hjorth氏らはK2-290を周回する「K2-290 b」(公転周期約9.2日、直径は木星の約0.27倍で海王星に近い)および「K2-290 c」(同約48.4日、直径は木星とほぼ同じ)という2つの系外惑星が見つかったとする研究成果を発表していました。

恒星はガスや塵が集まった分子雲の一部が自らの重力で収縮することで誕生し、惑星は誕生したばかりの若い星を取り囲む原始惑星系円盤のなかで形成されると考えられています。太陽系の8惑星は太陽の自転と同じ方向に公転していますが、これは誕生したばかりの太陽を取り囲んでいた原始惑星系円盤が太陽の自転と同じ方向に回転していたためだとみられています。

ところが、研究グループが国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」の観測装置「高分散分光器(HDS:High Dispersion Spectrograph)」などを用いて観測した結果、K2-290 bとK2-290 cはどちらも主星であるK2-290の自転方向に対して逆向きに公転していることが明らかになったといいます。2つの系外惑星がそろって逆行している理由について研究グループでは、K2-290の伴星が原始惑星系円盤をひっくり返すかのように大きく傾けたからではないかと考えています。

主星の自転に対して逆行する系外惑星はこれまでにも見つかっていて、形成後に別の惑星との相互作用によって軌道が変化したものと考えられてきました。しかしK2-290を周回する2つの系外惑星の軌道面(軌道が描き出す平面)はほぼ揃っており、これは惑星が形成された原始惑星系円盤そのものがK2-290の自転とは逆向きに回転していた可能性を示唆しています。

2019年にHjorth氏らはK2-290 bとK2-290 cの発見とともに、K2-290が2つのM型星とともに3連星を成している可能性も報告していました。K2-290から伴星であるM型星までの距離は約113天文単位および約2467天文単位(※)とされています。研究グループが数値計算を実施したところ、伴星の重力によって惑星形成中の原始惑星系円盤が傾いたことで、この円盤から誕生したK2-290 bとK2-290 cの軌道が逆行することになった可能性が示されたといいます。

※…1天文単位=約1億5000万km、太陽から地球までの平均距離に由来

研究グループによると、伴星の重力が原始惑星系円盤の向きを大きく変化させ得るとする理論は10年近く前に提唱されていたものの、観測によってその証拠が見つかったのは今回が初めてだとされています。研究に参加した平野氏は「今後、伴星を持つ惑星系のさらなる観測によって、K2-290 のように原始惑星系円盤の向きが変化する条件を詳しく調べるととともに、連星をなす惑星系の長期的な安定性を明らかにしたいです」とコメントしています。

惑星形成時のK2-290と原始惑星系円盤を描いた模式図。右上に見える伴星の影響で原始惑星系円盤が大きく傾いたと考えられている(Credit: Christoffer Grønne/Aarhus University)

惑星形成時のK2-290と原始惑星系円盤を描いた模式図。右上に見える伴星の影響で原始惑星系円盤が大きく傾いたと考えられている(Credit: Christoffer Grønne/Aarhus University)

 

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Image Credit: Christoffer Grønne/Aarhus University
Source: 国立天文台
文/松村武宏

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