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ispaceと英国レスター大学がペイロード契約を締結 火星探査向け技術を応用した装置を月面へ

株式会社ispaceは2026年5月13日、英国のレスター大学(University of Leicester)と、将来の月ミッションでラマン分光計を月面へ輸送するためのペイロードサービス契約(PSA)を締結したと発表しました。

月面に輸送されるのは、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)が主導する火星生命探査ミッション「ExoMars(エクソマーズ)」向けに開発されたレーザー式分光計の技術を応用したラマン分析分光装置です。ラマン分光法は、物質にレーザー光を照射し、散乱光の波長変化から分子の構造や組成を調べる分析手法です。

今回の装置は月面の分子組成を分析し、将来の有人探査を支える可能性がある資源を特定することを目的としています。水氷や鉱物、揮発性物質などの把握は、今後の月面探査や宇宙資源利用において重要なテーマとなります。

装置の開発はレスター大学が中心となり、スペイン国立航空宇宙技術研究所(INTA)、アバディーン大学、RAL Space、バリャドリッド大学が連携して進めます。このプロジェクトは英国宇宙庁(UKSA)の「Science and Exploration Bilateral Fund(二国間宇宙科学・探査ミッション資金プログラム)」の支援を受けており、英国政府の発表では「Lunar Spectroscopy」プロジェクトに約140万ポンドの支援が割り当てられています。

ispaceとレスター大学の協力は、2022年の支援表明(Letter of Support)に始まり、2024年のペイロードサービス中間契約(iPSA)を経て、今回の正式なペイロードサービス契約に至りました。

月面で高精度な分析を行うには、ラマン分光計を月面の砂(レゴリス)にきわめて接近させるか、接触した状態で運用する必要があります。そのため、ispaceとレスター大学は、装置を月面の所定位置に精密に配置するための展開機構を共同で開発しており、ランダー(月着陸船)とローバー(月面探査車)の双方での運用を目指しています。

本契約に基づき、ispaceは新ランダー「ULTRA(ウルトラ)」を用いてペイロード輸送サービスを提供します。ULTRAは、日米でそれぞれ開発が進められていた「シリーズ3ランダー」と「APEX 1.0ランダー」を統合した新型ランダーです。ispaceがこれまで実施してきた月ミッションのランダー開発で得られた知見を継承しつつ、将来ミッション向けの機体として開発されています。なお、ラマン分光計を具体的にどのミッションで搭載するかについては、今後詳細が決まり次第発表される予定です。

ispaceの新ランダー「ULTRA」のCGイメージ(Credit: ispace)
【▲ ispaceの新ランダー「ULTRA」のCGイメージ(Credit: ispace)】

ispaceは2028年にULTRAによる新ミッション3(旧ミッション4)の打ち上げを予定しています。続いて2029年には月南極近傍への高精度着陸を目指す新ミッション4(旧ミッション6)、2030年にはNASAのCLPS(商業月輸送サービス)に関連する新ミッション5(旧ispace-U.S. Mission 3)が計画されています。新ミッション5の変更後スケジュールについては、NASAの正式な承認待ちとされています。

火星探査向けに培われた分光技術が月面で活用されることになれば、月面資源の理解を深める新たな手がかりになることが期待されます。

 

文・編集/sorae編集部

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