
アメリカのNASA(アメリカ航空宇宙局)とDOE(エネルギー省)は2026年1月13日付で、月面や火星での探査ミッションを見据えた原子力発電システムの研究開発支援に関するパートナーシップを改めて確認したと発表しました。
発表によると、Donald Trump大統領が2025年12月に署名したExecutive Order(大統領令)の「Ensuring American Space Superiority(宇宙におけるアメリカの優位性確保)」にもとづき、NASAとDOEは“アメリカ第一主義”の宇宙政策を前進させるためのMOU(覚書)を締結しました。
この大統領令では優先事項のひとつとして、近い将来に宇宙で原子力エネルギーを利用可能にするべく、2030年までに打ち上げ準備が整う月面用原子炉を含む、月面および軌道上への原子炉の配備が挙げられています。

注目が高まる「宇宙での原子力利用」
宇宙で原子力を利用するという発想は、東西冷戦時代にまで遡ります。当時は小型の原子炉で加熱・膨張させた水素ガスなどの推進剤を噴射して推進力を得る、核熱推進ロケットエンジンが研究されていました。
現在では、一部の探査機でRTG(放射性同位体熱電気転換器)が利用されています。核分裂の連鎖反応を利用する原子炉ではなく、放射性同位体が自ら崩壊する時に生じる熱(崩壊熱)を電気に変換する原子力電池の一種ですが、太陽光を利用できない環境でも電力が得られるメリットがあります。
有名なのは、太陽を遠く離れて星間空間に到達したNASAの惑星探査機「Voyager 1(ボイジャー1号)」と「Voyager 2(ボイジャー2号)」でしょう。電力量こそ低下しているものの、打ち上げから48年が経った2026年1月現在も、2機のVoyagerはRTGの電力を使ってミッションを続けています。

近年、宇宙での原子力利用は再び注目され始めています。それを後押しするもののひとつが、半世紀ぶりに再開されようとしている有人月探査です。
アメリカや中国が計画・推進している21世紀の有人月探査計画では、有人探査活動の拠点となる月面基地の建設が構想されています。ただ、実現には多くのハードルを乗り越えなければなりません。
そのひとつが、月の長い夜です。月では約2週間ごとに昼と夜が繰り返されるため、月面滞在中は夜間のエネルギー確保が課題となります。そこで、太陽に頼らないエネルギー源として、原子力を利用しようというのです。

NASAとDOEはアメリカ主導の有人月探査計画「Artemis(アルテミス)」を念頭に、月面用原子炉の実現に向けた取り組みを続けてきました。今回のMOU締結はこのパートナーシップを再確認するとともに、2030年という具体的な時期に向けて開発を前進させるものとなります。
2030年といえば、ISS(国際宇宙ステーション)の運用が終了する予定の年。地球低軌道での恒久的な滞在施設を建設・運営するプロジェクトの終わりとともに、月面での恒久的な滞在を支える新たなプロジェクトが形となる、歴史的な年になるかもしれません。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- NASA - NASA, Department of Energy to Develop Lunar Surface Reactor by 2030
- DOE - U.S. Department of Energy and NASA to Develop Lunar Surface Reactor by 2030
- The White House - ENSURING AMERICAN SPACE SUPERIORITY
























