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NASAが火星探査で民間企業とパートナーシップ締結 2028年に大気観測ミッション実施へ

NASA(アメリカ航空宇宙局)は2026年6月17日付で、民間企業Relativity Space(レラティビティ・スペース)と共同で、火星探査を前進させるための新たな官民パートナーシップを発表しました。

Relativity Spaceは2025年に元Google CEOのEric Schmidt氏によって買収されており、現在はSchmidt氏がCEOを務めています。今回の提携は、その新体制のもとで打ち出された同社の「Interplanetary Sciences Program」の一環であり、2028年に新たな周回探査機が打ち上げられる予定です。

2026年6月17日にRelativity Spaceで開催されたイベントにて、同社とNASAの官民連携を発表するNASAのJared Isaacman長官(Credit: Relativity Space)
【▲ 2026年6月17日にRelativity Spaceで開催されたイベントにて、同社とNASAの官民連携を発表するNASAのJared Isaacman長官(Credit: Relativity Space)】

将来の有人着陸に向けた環境データの収集

NASAによると、今回の取り組みの主な目的は、将来の有人火星探査に向けた環境知識の獲得とリスクの軽減です。火星に人間を安全に着陸させるためには、火星の大気や気象に関する詳細かつ正確な予測モデルの構築が欠かせません。

NASAのJared Isaacman長官は、「このような官民パートナーシップは科学の力を倍増させます。NASAの世界クラスの観測機器と民間のイノベーションを組み合わせることで、より頻繁に科学的成果を生み出し、将来の有人火星探査の準備に必要なデータを研究者に迅速に届けることができます」と述べています。

大気観測装置群「Aeolus」と民間の輸送能力

今回の取り組みでは、両者の強みを活かした役割分担がなされています。

まず、Relativity Spaceは、同社が開発中の次世代ロケット「Terran R(テラン・アール)」による打ち上げをはじめ、探査機本体の開発、そして火星までの巡航運用を担当します。

一方のNASAは、カリフォルニア州のエイムズ研究センターで設計・開発される大気科学観測装置群「Aeolus(アイオロス)」を提供します。Aeolusは以下の4つの機器で構成されており、火星の風、温度、塵、雲に関する初となる日々の全球的な統合データを提供します。

・DWTS-Ozone(ドップラー風速・温度サウンダー): 地表から高度約60kmまでの風と温度の垂直プロファイルを測定。
・TLS(熱リムサウンダー): 垂直方向の温度プロファイルや、塵および水氷の雲を観測。
・SuRSeP(表面放射センサーパッケージ): 火星表面のエネルギー収支や、塵・雲の特性を測定。
・WFCC(広視野コンテクストカメラ): 大気活動の様子を毎日、全球規模で撮影するカメラ。

新たなパートナーシップモデルの幕開けとなるか

NASAによると、この取り組みは同局にとって初となる償還型の宇宙法協定(Space Act Agreement)のもとで支援され、安定した協力体制とミッションの継続性が担保されます。NASAは、少なくとも火星の1年間(地球の約1.9年)にわたって科学機器の運用を支援するほか、生のデータを広範な科学的利用に適した高品質な製品へと変換するデータ処理パイプラインの開発も行います。

NASAの観測技術と、Schmidt氏が率いるRelativity Spaceの技術を融合させる今回のパートナーシップは、これからの深宇宙探査における新たなモデルケースとなることが期待されます。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典