
NASA=アメリカ航空宇宙局は2025年9月25日付で、ISRO=インド宇宙研究機関と共同開発した地球観測衛星「NISAR(NASA-ISRO Synthetic Aperture Radar)」に搭載されているSAR(合成開口レーダー)で取得した画像を初公開しました。
アメリカ東海岸のマウント・デザート島と中西部の農地を観測
NISARは2種類のレーダー(波長24cmのLバンド、波長10cmのSバンド)を使用して、高度747kmの極軌道から森林や湿地の生態系の変化の追跡、陸地や氷の変形や移動の監視、地殻の動きを検出するために開発されました。
日本時間2025年7月30日にインドのサティシュ・ダワン宇宙センターから「GSLV」ロケットで打ち上げられた後、2025年8月15日にはSARの反射鏡完全展開に成功していました。
今回公開された画像は2025年8月21日に観測したアメリカ・メイン州のマウント・デザート島と、2025年8月23日に観測したアメリカ・ノースダコタ州北東部の2点で、いずれもLバンドで取得されたものとなります。


メイン州最大の島であるマウント・デザート島の画像は、森林が緑、裸地や建物などがマゼンタで示されています。北東部のリゾート地バー・ハーバーをはじめ、狭い水路や周辺の小島などが5mの分解能で捉えられています。
ノースダコタ州北東部の画像は、西から東へ流れる川とその周辺にある森林や湿地、広大な農地が捉えられています。農地は牧草・大豆・トウモロコシといった作物は明るい色、休耕地は暗い色といったように、色の明るさで利用状況が把握できます。また、センターピボット灌漑(長大なスプリンクラーで農地に水を供給する灌漑方法)が行われていることを示す円形の模様も確認できます。
このように、土地を覆う植生や建物などの違いを識別できるLバンドSARについてNASAは、森林・湿地の増減だけでなく、世界各地の農作物の生育状況を確認する上で不可欠だと述べています。
NISARは2025年9月中旬に運用を行う高度747kmの軌道に投入されていて、2025年11月に科学観測フェーズを開始する予定だということです。
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文・編集/sorae編集部