QPS研究所の小型SAR衛星「スサノオ-I」初画像公開 阿蘇・京都・カリフォルニアを観測

日本企業の株式会社QPS研究所は2025年4月10日、同社の小型SAR(合成開口レーダー)衛星「QPS-SAR 9号機」、愛称「スサノオ-I」で取得した初画像を公開しました。

高精細モードで取得した阿蘇市・京都市・カリフォルニア州アナハイムの画像を公開

スサノオ-Iはアメリカ企業Rocket Lab(ロケットラボ)の「Electron(エレクトロン)」ロケットで日本時間2025年3月15日9時00分に打ち上げられ、その翌日となる日本時間2025年3月16日朝には収納型アンテナの展開に成功していました。QPS研究所の衛星で打ち上げに成功したのはスサノオ-Iが7機目となります。

今回公開されたのは分解能46cmの高精細モードで取得された画像で、日本の熊本県阿蘇市と京都府京都市、アメリカのカリフォルニア州アナハイムを観測したものとなります。観測時の天候は京都市とアナハイムは晴れですが阿蘇市は曇りとなっており、地上の天候に左右されないSARの強みを実感させます。

QPS研究所によると、同社の小型SAR衛星は高精細モードの他に分解能1.8mの通常モードでの観測が可能で、スサノオ-Iは打ち上げから1か月以内に両モードでの観測に成功したということです。

地球上の任意の地点を平均10分間隔の“ほぼリアルタイム”で観測することを目指すQPS研究所は、36機の小型SAR衛星で構成された衛星コンステレーション(※)の構築を進めています。2025年3月24日時点でQPS-SARシリーズの18号機までの製造に着手しているといい、同社の大西俊輔CEOは「コンステレーションの構築に向けて、確実に、そして力強く歩みを進めていることを実感しています」とコメントしています。

※…地球観測や通信サービス提供などを連携して行うための人工衛星群のこと。

熊本県阿蘇市

QPS-SAR 9号機「スサノオ-I」の合成開口レーダー(SAR)で日本時間2025年4月3日15時01分に取得した熊本県阿蘇市の阿蘇山の様子(Credit: QPS研究所)
【▲ QPS-SAR 9号機「スサノオ-I」の合成開口レーダー(SAR)で日本時間2025年4月3日15時01分に取得した熊本県阿蘇市の阿蘇山の様子(Credit: QPS研究所)】
阿蘇火山博物館やレストハウスなどがある草千里ヶ浜の拡大図。駐車場に並んでいる車を確認することができる(Credit: QPS研究所)
【▲ 阿蘇火山博物館やレストハウスなどがある草千里ヶ浜の拡大図。駐車場に並んでいる車を確認することができる(Credit: QPS研究所)】
阿蘇中岳火口付近の拡大図(Credit: QPS研究所)
【▲ 阿蘇中岳火口付近の拡大図(Credit: QPS研究所)】

京都府京都市

QPS-SAR 9号機「スサノオ-I」の合成開口レーダー(SAR)で日本時間2025年4月8日13時33分に取得した京都府京都市の様子(Credit: QPS研究所)
【▲ QPS-SAR 9号機「スサノオ-I」の合成開口レーダー(SAR)で日本時間2025年4月8日13時33分に取得した京都府京都市の様子(Credit: QPS研究所)】
西本願寺・東本願寺周辺の拡大図(Credit: QPS研究所)
【▲ 西本願寺・東本願寺周辺の拡大図(Credit: QPS研究所)】
東寺付近の拡大図。五重塔が捉えられているのがわかる(Credit: QPS研究所)
【▲ 東寺付近の拡大図。五重塔が捉えられているのがわかる(Credit: QPS研究所)】

カリフォルニア州アナハイム

QPS-SAR 9号機「スサノオ-I」の合成開口レーダー(SAR)で現地時間2025年4月7日18時34分に取得したカリフォルニア州アナハイムの様子(Credit: QPS研究所)
【▲ QPS-SAR 9号機「スサノオ-I」の合成開口レーダー(SAR)で現地時間2025年4月7日18時34分に取得したカリフォルニア州アナハイムの様子(Credit: QPS研究所)】
ディズニーランド・パーク付近の拡大図(Credit: QPS研究所)
【▲ ディズニーランド・パーク付近の拡大図(Credit: QPS研究所)】
アナハイムコンベンションセンター周辺の拡大図(Credit: QPS研究所)
【▲ アナハイムコンベンションセンター周辺の拡大図(Credit: QPS研究所)】

 

文・編集/sorae編集部

関連記事

参考文献・出典

  • QPS研究所 - 2025年4月10日(木)QPS研究所の小型SAR衛星9号機 「スサノオ-Ⅰ」による初画像(ファーストライト)として、高精細モード画像を公開します