2021年3月20日にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられる予定のソユーズ2.1aロケットには、国内ベンチャーのアクセルスペースとアストロスケールが開発した人工衛星が搭載されます。ロケットへの搭載準備が進むこれらの衛星をロシアの国営宇宙企業ロスコスモスが紹介しています。

■アクセルスペースの地球観測衛星「GRUS」

バイコヌールで打ち上げ準備中の「GRUS」(Credit: Roscosmos)

バイコヌールで打ち上げ準備中の「GRUS」(Credit: Roscosmos)

2月22日に紹介されたのはアクセルスペースの地球観測衛星「GRUS(グルース)」です。GRUSは同社の地球観測プラットフォーム「AxelGlobe」を支える衛星コンステレーションを構成する超小型人工衛星で、2018年12月に初号機の「GRUS-1A」がボストチヌイ宇宙基地から打ち上げられました。今回は「GRUS-1B」「同1C」「同1D」「同1E」の4機が同時に打ち上げられます。

GRUSは1機あたりの質量が100kgで、地上分解能は2.5m(パンクロマティック)。1機体制の現在は観測頻度が2週間に1回ですが、今回の打ち上げによって5機体制になることで、日本を含む中緯度地域なら平均1.4日に1回、低緯度地域は3日に1回へ向上します。同社では数十機のGRUSによる衛星コンステレーションを構築し、地球上の全陸域の半分を毎日1回の頻度で撮影することを目指しています。

2019年3月2日に「GRUS-1A」が撮影した羽田空港(Credit: アクセルスペース)

アクセルスペースによると、同型の衛星が一度に複数打ち上げられるのは日本の衛星としては初めてのこととなります。また、4機のうち「GRUS-1D」は福井県民衛星技術研究組合が所有する福井県民衛星「すいせん」で、運用は他のGRUSとともにアクセルスペースが担当するとされています。

■アストロスケールのデブリ除去技術実証衛星「ELSA-d」

バイコヌールで打ち上げ準備中の「ELSA-d」(Credit: Roscosmos)

いっぽう、2月25日にはアストロスケールの技術実証衛星「ELSA-d」が紹介されました。ELSA-dは捕獲衛星およびデブリ模擬衛星の大小2機から構成されていて、増加の一途をたどるスペースデブリ(宇宙ゴミ)の捕獲・除去に必要なコア技術を初めて実証することを目的に打ち上げられます。

ELSA-dは軌道への投入後にデブリ模擬衛星が捕獲衛星から切り離されます。捕獲衛星にはデブリ模擬衛星を捕獲するための磁気を利用したドッキング機構が搭載されていて、姿勢が安定している状態の模擬衛星とのドッキングや、回転している模擬衛星の動きに合わせて周囲を飛行しつつ姿勢を変えながらのドッキング、一旦模擬衛星と離れてからの捜索・発見・ドッキングといったさまざまな条件でのドッキングが繰り返されます。最終的には2機が結合した状態で速度を落とし、大気圏に突入することでミッションを終えます。

▲ELSA-dのミッションを紹介するデモビデオ(Credit: アストロスケール)▲

近年はスペースXの「スターリンク」をはじめとした複数の小さな人工衛星で構成される衛星コンステレーションを用いたサービスが登場しており、それとともにさらなるスペースデブリの増加が懸念されています。衛星コンステレーションによる高頻度の地球観測実現を目指すアクセルスペースと、デブリ除去や人工衛星の寿命延長サービスに取り組むアストロスケール、両社の事業は商業的な宇宙利用が拡大していくなかで今後いっそう注目を集めることになるはずです。

 

Image Credit: Roscosmos
Source: Roscosmos (1) / Roscosmos (2) / アクセルスペース / アストロスケール
文/松村武宏

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