軌道上から眺める火星 UAEの探査機「HOPE」が撮影

日本時間2021年2月10日午前1時頃に火星の周回軌道へと入ったアラブ首長国連邦(UAE)初の火星探査機「HOPE」(アル・アマル)。2月14日、HOPEが軌道上から撮影した初の火星の画像が公開されました。

UAEの火星探査機「HOPE」が撮影した火星(Credit: UAE Space Agency)
UAEの火星探査機「HOPE」が撮影した火星(Credit: UAE Space Agency)

こちらがHOPEに搭載されている多波長イメージャー「EXI(Emirates eXploration Imager)」によって高度2万5000kmから撮影された火星の画像です。BBCによると、画像が撮影されたのは火星の周回軌道へ投入された翌日となる日本時間2月11日5時36分とされています。

画像の火星は向かって左上が北極にあたり、中央には特徴的なタルシス三山(画像上からアスクレウス山パヴォニス山アルシア山)の連なりが見えています。昼夜の境界をよく見ると、今まさに朝を迎えようとしているオリンポス山の山裾がタルシス三山の左側に写っていることもわかります。

UAEはアメリカ、ロシア(ソ連)、欧州、インドに次いで探査機を火星の周回軌道へ投入することに成功した5か国目になりました。UAEの首相を務めるドバイ首長ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム氏はTwitterにて「アラブの歴史上初の火星探査機によって撮影された初の火星の写真だ」とコメントしています。

現在HOPEは予定されていた一時的な軌道を周回していますが、今後は科学観測を行うための高度2万2000×4万3000km、火星を55時間で1周する軌道に移り、主な目的である火星の大気の観測を開始します。HOPEのミッションは約2年(687日、火星での1年)の予定です。

 

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Image Credit: UAE Space Agency
Source: EMM / BBC
文/松村武宏

最終更新日:2021/02/15