宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2015年12月24日、宇宙飛行士の精神心理健康状態評価手法の高度化を目指した、有人閉鎖環境滞在研究を実施すると発表した。
JAXAによると、国際宇宙ステーション(ISS)のような閉鎖環境での長期間滞在は、人間の精神心理的な側面にさまざまな影響を与える可能性が知られており、ISSに長期滞在する宇宙飛行士に対する健康管理は日常的に行われ、JAXAも日本人宇宙飛行士を心身共に健康に保つ様々な取り組みを行っている。
しかし、このうち宇宙飛行士の精神心理的健康状態を評価する手法としては、宇宙飛行士の軌道上スケジュールや軌道上で対応できる分析手法に制約があるため、2週間に一度程度の精神医学・心理学の専門家とのビデオ問診(Private Psychological Conference:PPC)が唯一の手段となっており、より効果的な手法の構築が重要となっているという。
そこで今回の研究では、現状での専門家の問診評価に加え、客観的な指標に基づく精神心理的ストレス状態評価手法を用いることにより、ISS宇宙飛行士の精神心理的健康状態評価手法を向上させることを目標としているという。また、本研究は「非侵襲的(採血などを伴わない)かつ宇宙飛行士自身が軌道上でほぼリアルタイムに評価可能」な手法の開発も目標としている。
これにより、JAXAは将来の超長期有人宇宙滞在にも適用可能な新たな精神心理的健康管理手法の獲得を目指すとしている。
実施は2015年度から2016年度にかけて行われ、被験者募集は、別途専門の企業を通して行うとしている。
Image Credit: JAXA
■宇宙医学 - 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター - JAXA
http://iss.jaxa.jp/med/studies/heisa.html
Last Updated on 2022/11/20