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ルービン天文台の観測データから1万1000個以上の小惑星を新発見 地球近傍から太陽系外縁まで

NOIRLab(アメリカ国立光学・赤外天文学研究所)は2026年4月2日付で、NSF(アメリカ国立科学財団)とDOE(エネルギー省)の共同出資でチリに建設されたベラ・ルービン天文台のシモニー・サーベイ望遠鏡による観測データから、1万1000個以上もの小惑星が新たに見つかったことを明らかにしました。

今回の発見は、2025年夏に1か月半だけ実施されたテスト観測のデータからもたらされたもので、地球に近い軌道を公転する「地球近傍天体(NEO)」や、海王星よりも外側を公転する「太陽系外縁天体(TNO)」も含まれています。ルービン天文台が本格的な観測を開始すれば、地球近傍から太陽系外縁までの広範囲にわたって、小惑星などの天体がより多く見つかることになると期待されています。

小惑星の衝突に備えるプラネタリーディフェンスにも貢献

ベラ・ルービン天文台の観測でこれまでに発見された小惑星(水色)の分布を示した3Dモデル。既知の小惑星(青色)もあわせて示されている(Credit: NSF–DOE Vera C. Rubin Observatory/NOIRLab/SLAC/AURA/R. Proctor; Acknowledgements: Star map: NASA/Goddard Space Flight Center Scientific Visualization Studio. Gaia DR2: ESA/Gaia/DPAC.; Image Processing: M. Zamani (NSF NOIRLab))
【▲ ベラ・ルービン天文台の観測でこれまでに発見された小惑星(水色)の分布を示した3Dモデル。既知の小惑星(青色)もあわせて示されている(Credit: NSF–DOE Vera C. Rubin Observatory/NOIRLab/SLAC/AURA/R. Proctor; Acknowledgements: Star map: NASA/Goddard Space Flight Center Scientific Visualization Studio. Gaia DR2: ESA/Gaia/DPAC.; Image Processing: M. Zamani (NSF NOIRLab))】

こちらは、木星の公転軌道付近までの惑星や小惑星を示した図。水色がルービン天文台の観測で発見されたもので、青色は既知の小惑星です。

今回報告された1万1000個以上に、2024年後半の最初期のテスト観測で見つかった73個と、2025年4月から5月にかけての“ファースト・ルック(First Look)”と呼ばれる観測で見つかった1514個を合わせて、これまでに約1万2700個の小惑星がルービン天文台の観測で新たに見つかっています。

NOIRLabによると、今回報告された新発見の小惑星のうち、33個がNEOです。最大で幅約500mと推定されていますが、どれも地球に衝突する危険性はないとみられています。

地球へ衝突する小惑星は、幅十数m程度でも地上に被害をもたらすことがありますし、幅が百数十mを上回るようなものは深刻な被害をもたらす可能性があることから、より早い段階で発見するための観測体制の整備が進められています。最近では探査機を衝突させて小惑星の軌道を変更する技術(キネティック・インパクト)の実証ミッションが、プラネタリーディフェンス(※1)の一環として実施されるようにもなりました。

ルービン天文台が本格稼働すれば、約9万個のNEOが新たに見つかり、幅140m以上の小惑星の発見率は約70%に引き上げられると期待されています。

※1…深刻な被害をもたらす天体衝突を事前に予測し、将来的には小惑星などの軌道を変えて災害を未然に防ぐための取り組み。惑星防衛、地球防衛とも。

【▲ ベラ・ルービン天文台の観測でこれまでに発見された小惑星(水色)の分布を示した3Dモデルの動画バージョン。既知の小惑星(青色)もあわせて示されている(Credit: NSF–DOE Vera C. Rubin Observatory/NOIRLab/SLAC/AURA/R. Proctor; Star map: NASA/Goddard Space Flight Center Scientific Visualization Studio. Gaia DR2: ESA/Gaia/DPAC.; Image Processing: M. Zamani (NSF NOIRLab))】

海王星よりも遠い太陽系外縁天体の発見も加速する?

また、今回報告された小惑星の中には、約380個のTNOも含まれています。過去30年間で見つかったTNOが合計で約5000個であることを踏まえると、ルービン天文台の発見ペースは桁違いと言えます。

特に注目されているのは、「2025 LS2」と「2025 MX348」という仮符号が割り当てられた2つのTNOです。これらは極端に細長い軌道を公転しており、太陽から最も遠ざかる時は約1000天文単位(太陽から地球までの距離の約1000倍)に達します(※2)

こうした天体の発見は、初期の太陽系で起きたとされる惑星の移動や、存在するかもしれない“第9の惑星”の手がかりになる可能性があります。

※2…軌道長半径/軌道離心率/近日点距離の順に、2025 LS2:約538.6天文単位/約0.92/約43.0天文単位、2025 MX348:約514.9天文単位/約0.97/約17.8天文単位。

TNO(太陽系外縁天体)「2025 LS2」の公転軌道を示した図。左上に描かれている同心円の一番外側は海王星の公転軌道。Rubin Asteroid Discoveries Dashboardから引用(Credit: Rubin Observatory, DiRAC Institute)
【▲ TNO(太陽系外縁天体)「2025 LS2」の公転軌道を示した図。左上に描かれている同心円の一番外側は海王星の公転軌道。Rubin Asteroid Discoveries Dashboardから引用(Credit: Rubin Observatory, DiRAC Institute)】

本格観測を前に早くも発揮された驚異的な性能

シモニー・サーベイ望遠鏡の中核となるのは直径8.4mの主鏡と32億画素のカメラですが、今回の1万個を上回る小惑星の発見では、データから小惑星を検出するために使われる専用のソフトウェアも力を発揮しました。

ベラ・ルービン天文台では、シモニー・サーベイ望遠鏡を使って夜空の超広角・超高解像度のタイムラプスを10年間にわたり取得する観測プロジェクト「Legacy Survey of Space and Time(LSST)」が実施される予定です。

NOIRLabによれば、2026年後半から予定されているLSSTがスタートすれば、最初の数年間は2~3日ごとに1万個程度の小惑星の新発見が予測されており、既知の小惑星の数は約3倍に、既知のTNOの数は約10倍に増えると見込まれています。

ルービン天文台の太陽系部門リードサイエンティストを務めるワシントン大学のMario Juric氏は、これまでの設備では数十年かかっていた発見を、ルービン天文台は数か月で成し遂げられるとコメントしています。夜空では目立たない小さな天体も含めた太陽系の真の姿が、もう数年もすれば明らかになるかもしれません。

チリのセロ・パチョンに建設されたベラ・ルービン天文台(Credit: RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA/P. Horálek (Institute of Physics in Opava))
【▲ チリのセロ・パチョンに建設されたベラ・ルービン天文台(Credit: RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA/P. Horálek (Institute of Physics in Opava))】

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典