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18世紀から知られる銀河「M61」の恒星ストリームを発見か ベラ・ルービン天文台の初画像から

こちらは、ベラ・ルービン天文台(チリ)の「シモニー・サーベイ望遠鏡」が観測した、約5500万光年先の「おとめ座銀河団」の画像です。

ベラ・ルービン天文台からの初公開画像のひとつとして、NSF NOIRLab=アメリカ国立科学財団の国立光学・赤外天文学研究所が2025年6月23日付で発表したもので、soraeでも公開直後に一度紹介しています。

ベラ・ルービン天文台のシモニー・サーベイ望遠鏡で観測された「おとめ座銀河団」(Credit: RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA)
【▲ ベラ・ルービン天文台のシモニー・サーベイ望遠鏡で観測された「おとめ座銀河団」(Credit: RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA)】

実はこの画像、ある銀河の周囲にこれまで知られていなかった構造が捉えられていた……というのですが、どこに写っているのかわかりますか?

サンノゼ州立大学(アメリカ・カリフォルニア州)のAaron Romanowskyさんたち研究チームは、ベラ・ルービン天文台の公開画像から渦巻銀河「M61(Messier 61)」の恒星ストリーム(Stellar stream)が見つかったことを、AAS=アメリカ天文学会の研究ノート(※進行中の研究やタイムリーな報告などを査読なし・モデレーションのみで掲載)を通じて報告しました。

240年以上前から知られる銀河で未知の構造を発見

発見された恒星ストリームは、冒頭の画像でも確認できます。右下に写っているM61から左上に向かってまっすぐに伸びているものがそれで、研究チームが割り出した長さは約50キロパーセク(約16万3000光年)。先端はやや広がった複雑な形をしているとみられます。

恒星ストリームは星やガスでできた細長い構造で、矮小銀河や球状星団が大きな銀河の潮汐力によって引き伸ばされてできると考えられています。天の川銀河では十数本が発見されている他に、アンドロメダ銀河(M31)など天の川銀河以外の銀河でも見つかっています。

なお、冒頭の画像ではM61の左上にある赤い天体に向かって恒星ストリームが伸びているように見えますが、これは偶然同じ方向に見えている天の川銀河の星(おとめ座KO星)なので、実際にはM61とは無関係です。

ベラ・ルービン天文台のシモニー・サーベイ望遠鏡で観測された「おとめ座銀河団」の注釈付き画像のうち、渦巻銀河「M61」の周辺を拡大したもの。M61から左上に伸びた恒星ストリームがうっすらと写っているのがわかる(Credit: RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA; Edit: sorae編集部)
【▲ ベラ・ルービン天文台のシモニー・サーベイ望遠鏡で観測された「おとめ座銀河団」の注釈付き画像のうち、渦巻銀河「M61」の周辺を拡大したもの。M61から左上に伸びた恒星ストリームがうっすらと写っているのがわかる(Credit: RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA; Edit: sorae編集部)】

M61は1779年にイタリアの天文学者Barnaba Orianiが発見した銀河で、同時期に活躍していたフランスの天文学者Charles Messierがまとめた「メシエカタログ」に記載されています。

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)などによる観測が行われてきたM61は、激しいペースで星を形成する「スターバースト」が起きているスターバースト銀河のひとつとして知られていて、これまでに8つの超新星がこの銀河で検出されました。

研究チームはM61の恒星ストリームについて、天の川銀河で見つかっている恒星ストリームのひとつ「いて座ストリーム」に類似している点に言及。その上で、過去にM61と相互作用した銀河がM61の棒状構造、スターバースト、活動銀河核(強い電磁波を放射する銀河中心部の狭い領域)の形成に関わった可能性があると指摘しています。

よく知られた銀河での新たな発見というと、2025年2月に発見が報告された「NGC 6505」のアインシュタインリングを連想します。

M61での恒星ストリーム発見は、長く研究されてきた天体であっても、発達した観測技術を用いて新たに調査を行うことの重要性を改めて示すものと言えます。

研究チームは、ベラ・ルービン天文台から今後公開されていく観測データを通じて、より多くの銀河の周辺で付帯する構造が見つかることに期待を寄せています。同天文台は今後10年間の観測で200億の銀河からの光を捉える予定です。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典