
NASA(アメリカ航空宇宙局)は2026年3月5日付けで、小惑星「2024 YR4」に関する最新の軌道解析が行われた結果、この小惑星が2032年12月に月へ衝突する可能性が完全に排除されたと発表しました。

月への衝突確率は「4.3%」から「0%」へ
NASAのJPL(ジェット推進研究所)に所属するCNEOS(Center for Near-Earth Object Studies=地球近傍天体研究センター)の専門家チームによると、2026年2月18日および26日にジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が収集した最新の観測データを使用して2024 YR4の軌道をより正確に計算した結果、月への衝突の可能性がなくなりました。
新たな計算結果によると、2024 YR4は2032年12月22日に、月面から約2万1200kmという安全な距離で通過すると予想されています。
2025年6月までの分析では、2024 YR4が2032年12月に月へ衝突する確率は4.3%と推定されていました。NASAによれば、今回の衝突確率更新は追加の観測データをもとに「2032年に小惑星がどこにいるか」という位置予測の精度が大幅に向上した結果であり、小惑星の軌道そのものが変化したわけではありません。
ウェッブ宇宙望遠鏡の優れた能力が予測精度向上に貢献

このアニメーション画像は、2025年6月と2026年3月にそれぞれ予測された、小惑星2024 YR4の2032年12月22日における予測位置を示したものです。
2025年6月時点では予想される位置のブレ(黄色い点の並び)の範囲が月の位置と一部重なっていましたが、今回取得されたウェッブ宇宙望遠鏡の観測データが加わったことで将来の位置の確実性が高まり、考えられる位置の範囲が絞り込まれたことで、予想される位置の範囲が完全に月を外れることが明らかになったのです。
ウェッブ宇宙望遠鏡を用いた今回の観測は、ジョンズ・ホプキンス大学の応用物理学研究所(APL)が主導する観測チームによって実施されました。
観測チームによれば、2024 YR4は2025年の春以降、地上と宇宙にある他のあらゆる望遠鏡から観測できない状態が続いていました。しかし、極めて高い感度と独自の能力を有するウェッブ宇宙望遠鏡を活用したことで、これまでで最も暗い部類に入るこの小惑星の姿を捉え、追加の軌道データを取得することに成功したということです。
地球への重大な衝突リスクはないとすでに結論
2024 YR4は、2024年後半に掃天観測システム「ATLAS(小惑星地球衝突最終警報システム)」のチリにある観測所によって発見されました。
NASAによると、発見から間もない2025年初頭の時点では、わずかながらもこの小惑星が2032年に地球へ衝突する可能性があると懸念されていましたが、その後に世界中の天文台から集められた観測データを用いた分析によって、2032年12月22日を含め、今後1世紀にわたって地球に対する重大な衝突リスクはないという結論がすでに出されています。
新たな観測データが集まるにつれて初期の予測やリスク評価のモデルが更新され、より正確になっていくプロセスは、天文学においてごく標準的なものです。今回の月への衝突リスクの除外も、天体観測と軌道計算のプロセスが順調に機能した結果だと言えます。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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