
NASA=アメリカ航空宇宙局は2025年4月2日付で、2032年の地球への衝突確率が一時大きく注目された小惑星「2024 YR4」に関する最新情報を公開しました。
それによると、「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope: JWST)」の「近赤外線カメラ(NIRCam)」と「中間赤外線観測装置(MIRI)」による赤外線観測を行い不確かさが減少した結果、2024 YR4の最新の推定サイズは53~67mとなりました。これまでの推定サイズは可視光観測のデータにもとづいており、40~90mとされていました。

また、2032年12月22日に2024 YR4が地球へ衝突する確率は2025年2月24日時点で0.004%まで下がっていますが、月へ衝突する確率は2025年4月2日時点で3.8%と算出されています(いずれもNASAのCNEOS=地球近傍天体研究センターによる)。衝突しない確率のほうが依然として大幅に高いものの、追跡観測が積み重ねられるにつれて月への衝突確率は少しずつ上昇し続けています。
NASAによると、2025年4月以降の2024 YR4は地上の望遠鏡で観測するには暗くなりすぎるものの、2025年5月にはウェッブ宇宙望遠鏡による観測が再び行われる予定だということです。
小惑星2024 YR4とは

2024年12月に掃天観測システム「ATLAS(Asteroid Terrestrial-Impact Last Alert System=小惑星地球衝突最終警報システム)」の観測で発見された2024 YR4は、発見直後の段階で2032年12月22日に地球へ衝突する可能性があると認識されていました。
NASAによると、算出された2024 YR4の衝突確率は2025年1月27日時点では1.2%でしたが、明るい満月の影響による中断を経て観測が再開された2025年2月に入るとさらに上昇し、2025年2月18日時点では3.1%に達していました。
しかし、衝突確率の上昇は追跡観測の積み重ねによって2024 YR4の予測通過位置の範囲が狭まっていく過程で生じる一時的なものであり、翌日の2025年2月19日時点では1.5%、2025年2月20日時点では0.28%、2025年2月24日時点では0.004%まで低下。2024 YR4のトリノスケール(※)は一時「レベル3」とされていましたが、2025年2月23日には最も低い「レベル0」まで下がっています。
※…小惑星が地球に衝突する確率や被害の規模を11段階で示す指標。
その一方で、2024 YR4が2032年に月へ衝突する確率は少しずつ上昇しています。2025年2月19日時点では0.8%でしたが、2025年4月2日時点では3.8%とされています。ただし、予測されている通過位置の範囲には依然として幅があるため、今後の追跡観測の積み重ねで範囲がさらに絞り込まれることで、月への衝突確率も変化する可能性があります。最新の情報はCNEOSなどが公開しているデータをご参照ください。
文・編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- NASA - NASA Update on the Size Estimate and Lunar Impact Probability of Asteroid 2024 YR4
- STScI - NASA’s Webb Finds Asteroid 2024 YR4 Is Building-Sized