小惑星「2024 YR4」2032年の地球衝突確率が大幅に低下 最新情報の確認を

NASA=アメリカ航空宇宙局は2025年2月20日付で、小惑星「2024 YR4」が2032年に地球へ衝突する確率は0.28%まで低下したと発表しました。軌道をより正確に予測するために、今後も2024 YR4の観測を続けていくとNASAは述べています。※本記事の内容は日本時間2025年2月21日15時時点の情報に基づきます。

小惑星2024 YR4とは

ESO=ヨーロッパ南天天文台の望遠鏡「VLT(超大型望遠鏡)」によって撮影された2024 YR4(中央の固定された光点)(Credit: ESO & O. Hainaut et al.)
【▲ ESO=ヨーロッパ南天天文台の望遠鏡「VLT(超大型望遠鏡)」によって撮影された2024 YR4(中央の固定された光点)(Credit: ESO & O. Hainaut et al.)】

2024年12月に掃天観測システム「ATLAS(Asteroid Terrestrial-Impact Last Alert System=小惑星地球衝突最終警報システム)」の観測で発見された2024 YR4は、幅40m~90mと推定される小惑星です。発見直後の段階で、2024 YR4は2032年12月22日に地球へ衝突する可能性があると認識されていました。

NASAによると、算出された2024 YR4の衝突確率は2025年1月27日時点では1.2%でしたが、明るい満月の影響による中断を経て観測が再開された2025年2月に入るとさらに上昇し、2025年2月18日時点では3.1%に達していました。

しかし、衝突確率の上昇は追跡観測の積み重ねによって2024 YR4の予測通過範囲が狭まっていく過程で生じる一時的なものであり、翌日の2025年2月19日時点では1.5%、さらに翌日の2025年2月20日時点では0.28%まで低下しました。

また、2024 YR4のトリノスケール(小惑星が地球に衝突する確率や被害の規模を11段階で示す指標)は一時「レベル3」とされていましたが、2025年2月20日時点では「レベル1」まで下がっています。

小惑星「2024 YR4」が2032年に地球へ接近する際に予測される通過範囲(黄色)を示した図、衝突確率が1.2%と算出された2025年1月27日時点での観測データをもとに作成されたもの。白い円は月の公転軌道を示しており、地球は予測通過範囲全体の中央付近に位置している(Credit: NASA JPL/CNEOS)
【▲ 小惑星「2024 YR4」が2032年に地球へ接近する際に予測される通過範囲(黄色)を示した図、衝突確率が1.2%と算出された2025年1月27日時点での観測データをもとに作成されたもの。白い円は月の公転軌道を示しており、地球は予測通過範囲全体の中央付近に位置している(Credit: NASA JPL/CNEOS)】
小惑星「2024 YR4」が2032年に地球へ接近する際に予測される通過範囲(黄色)を示した図、衝突確率が1.5%と算出された2025年2月19日時点での観測データをもとに作成されたもの。2025年1月27日から衝突確率は0.3ポイント上昇しているが、予測通過範囲全体の中心は地球から離れたところにある(Credit: NASA JPL/CNEOS)
【▲ 小惑星「2024 YR4」が2032年に地球へ接近する際に予測される通過範囲(黄色)を示した図、衝突確率が1.5%と算出された2025年2月19日時点での観測データをもとに作成されたもの。2025年1月27日から衝突確率は0.3ポイント上昇しているが、予測通過範囲全体の中心は地球から離れたところにある(Credit: NASA JPL/CNEOS)】

その一方で、2024 YR4が2032年に月へ衝突する確率は少しずつ上昇しています。2025年2月19日時点では0.8%、2025年2月20日時点では1%とされていて、地球への衝突確率を上回っています。ただ、予測されている通過範囲には依然として幅があるため、今後の追跡観測の積み重ねで予測通過範囲がさらに絞り込まれることで、月への衝突確率も変化する可能性があります。

以上のように、2024 YR4の衝突確率は日を追うごとに変化しています。soraeでは大きな変化が確認され次第お伝えしていく予定ですが、最新の情報を確かめたい方は、NASAのCNEOS=地球近傍天体研究センターなどが公開しているデータを是非ご参照下さい。

 

Source

  • NASA - Planetary Defense (NASA Blogs)
  • CNEOS - Sentry: Earth Impact Monitoring

文・編集/sorae編集部