相互作用の影響が垣間見える“おとめ座”の活動銀河、ハッブルが撮影

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活動銀河「NGC 4388」(Credit: ESA/Hubble & NASA)
【▲ 活動銀河「NGC 4388」(Credit: ESA/Hubble & NASA)】

こちらは「おとめ座」の方向およそ6000万光年先にある銀河「NGC 4388」です。NGC 4388の中心部分は狭い領域から強い電磁波を放射する活動銀河核であることが知られており、NGC 4388自体は活動銀河の一種であるセイファート銀河(セイファート2型)に分類されています。

12星座でおなじみの「おとめ座」は、楕円銀河「M87」をはじめ2000以上の銀河が集まっている「おとめ座銀河団」が存在することもあり、様々な銀河が観測できる領域でもあります。同銀河団の一員であるNGC 4388は、若くて高温な青い星々が連なる渦巻腕や、塵が豊富で暗いダストレーン(ダークレーン)といった渦巻銀河の特徴を持っており、ストラスブール天文データセンターのデータベース「SIMBAD」では渦巻銀河と棒渦巻銀河の中間(ハッブル分類:SAB)に分類されています。

ところが、渦巻構造よりも外側にあるNGC 4388の外周部分はぼんやりとしていて、明確な構造を持たない楕円銀河のようでもあります。欧州宇宙機関(ESA)によると、渦巻銀河と楕円銀河の特徴を併せ持つNGC 4388の形態は、おとめ座銀河団に属する他の銀河との重力相互作用の結果ではないかと考えられています。銀河は別の銀河とすれ違ったり衝突したりして相互作用することがあり、星形成活動が活性化することもあれば、元の形態とは異なる姿に変化したり、最終的に1つに合体することもあります。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」による可視光線・近赤外線の観測データから作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚としてESAから2016年12月5日付で公開されています。

 

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Image Credit: ESA/Hubble & NASA
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏