こちらは2020年1月28日に撮影された、太陽の黒点とその周辺を詳細に捉えた画像です。中央の暗く見える部分(暗部)から周辺へ放射状に広がるような筋状の部分(半暗部)が、虹彩に囲まれた瞳を持つ人の目を連想させます。
撮影された黒点の直径は約1万6000km。直径約140万kmの太陽からすれば小さいものの、直径約1万2700kmの地球がすっぽり入ってしまうほどのサイズです。
画像を撮影したのは全米科学財団(NSF)がハワイのマウイ島に建設した「ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡」(以下「イノウエ太陽望遠鏡」)です。名称はハワイ出身のアメリカ合衆国上院議員であったダニエル・イノウエ氏に由来します。
イノウエ太陽望遠鏡はハレアカラ山(標高3067m)の山頂に建設された望遠鏡で、太陽望遠鏡としては世界最大となる直径4mの主鏡を備えています。2020年1月に公開された次の画像には、ガスの対流によって生じる粒状斑(りゅうじょうはん)が太陽の表面をびっしりと覆っている様子が捉えられています。
太陽には約11年で繰り返される活動周期があることが知られています。1年前の2019年12月からは第25太陽活動周期に入ったことが確認されていて、活動の極大期は2025年7月に迎えると予想されています。新型コロナウイルス感染症の影響により運用開始が遅れているものの、イノウエ太陽望遠鏡は2021年から2060年代まで、少なくとも4回分の太陽活動周期に渡り観測を実施することが予定されています。
全米科学財団のDavid Boboltz氏は「この画像は、私たちの太陽についての理解を深めるであろうイノウエ太陽望遠鏡の能力を一足早く示しています」とコメントしています。
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Image Credit: NSO/AURA/NSF
Source: NSO
文/松村武宏