若い星状天体「IRAS 14568-6304」を覆うガスと塵の雲(下)(Credit: ESA/Hubble & NASA)

こちらの画像で青い星の下に捉えられている天体は、南天のコンパス座の方向にあるガスと塵の雲に覆われた若い星状天体(young stellar object)「IRAS 14568-6304」です。背後に広がる暗黒星雲が遠くの星からの光を隠し、幼い星を包む金色に輝く雲のベールを際立たせているかのようです。

IRAS 14568-6304は地球から約2280光年先、太陽のような星を25万個形成できるほどの物質が集まっているというコンパス座分子雲複合体(Circinus molecular cloud complex)と呼ばれる広大な領域で形成された星々の一つ。背後に写る暗黒星雲も分子雲の一部です。ESA(欧州宇宙機関)によると、この分子雲複合体は幅180光年ほどの幅があり、もしも私たちの目が赤外線のかすかな輝きを捉えることができれば満月の直径の70倍以上に渡って広がる様子が見えるだろうといいます。

幼い星は周囲からガスや塵を取り込んで成長しますが、その一部はジェットとして放出されます。画像の下に向かって尾を伸ばしているように見えるIRAS 14568-6304も例外ではなく、こうしたジェットの放出は星形成に関する貴重な手がかりを与えてくれるとともに、私たちの目を楽しませてもくれています。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡に搭載されている「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」によって可視光線と赤外線の波長で観測されたもので、2014年5月26日にハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として公開されています。

 

Image Credit: ESA/Hubble & NASA
Source: ESA/Hubble / ESA
文/松村武宏

 オススメ関連記事