私たちが住んでいる宇宙はどれくらいの大きさなのでしょうか。この問いは長い間、天文学者たちの関心を集めてきました。
天文学の大論争:シャプレー対カーチス
ちょうど100年前(1920年)の4月26日、2人の著名な天文学者「ハーロー・シャプレー(Harlow Shapley)」と「ヒーバー・ダウスト・カーチス(Heber Doust Curtis)」によって、この問題が討論されました。これが後に「天文学の大論争」として知られるようになりました。
当時、多くの天文学者(シャプレーら)は、天の川銀河が宇宙全体だと信じていました。一方で、私たちの銀河は多くの銀河の一つに過ぎないと考える天文学者(カーチスら)も数多く存在しました。大討論会では、それぞれの論拠が詳細に検討されましたが、結局決着はつきませんでした。
ハッブルの発見と宇宙の広がり
それから3年後(1923年)の10月、エドウィン・ハッブルがアンドロメダ星雲を観測し、宇宙の大きさに関する重要な答えを発見しました。アンドロメダ星雲の中にある1つの星の光度の変化が検出されたのです。
オリジナル画像はガラス製の写真乾板ですが、冒頭の画像はデジタル化して再現されています。ハッブルは何枚もの画像を比較し、この星の光度が変化していることに気付きました。
彼は乾板に変光星(Variable star)を意味する「VAR」と書き、発見に感激したのか、さらに「!」まで付け加えました。
セファイド変光星と距離測定
「セファイド」と呼ばれる変光星は周期的に光度が変化し、その周期を測ることで変光星までの距離がわかるのです。
ハッブルはそのことを知っており、アンドロメダ星雲の中にあるその変光星までの距離を測ることに成功しました。アンドロメダ星雲(M31)は天の川銀河(銀河系)の外にある別の銀河、つまりアンドロメダ銀河だったのです。
この発見により、宇宙には無数の銀河が存在し、その規模は私たちの想像を遥かに超えていることが明らかになりました。
現代の宇宙観とその広がり
ハッブルの発見以来、宇宙の研究は飛躍的に進展しました。現在では、宇宙は約138億光年の広がりを持ち、無数の銀河が相互に影響し合いながら膨張し続けているとされています。
最新の観測技術と理論により、ダークマターやダークエネルギーといった未知の要素も解明されつつあります。私たちの宇宙の理解は日々深まり続けており、今後も新たな発見が期待されています。
宇宙の大きさを探る今後の研究
宇宙の広大さを理解するための研究は、今後も多岐にわたって進められるでしょう。最新の望遠鏡技術や宇宙探査ミッションにより、遠く離れた銀河や星々の詳細な観測が可能となり、宇宙の構造や進化についての新たな知見が得られることが期待されています。
また、理論物理学の進展により、宇宙の起源や終焉についての理解も深まることでしょう。
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Source
- Image Credit: Courtesy Carnegie Institution for Science
- APOD - Edwin Hubble Discovers the Universe
文/吉田哲郎 編集/sorae編集部