2016年2月、ハワイの掃天観測プロジェクト「パンスターズ(Pan-STARRS)」によって、遠くの銀河で起きた超新星爆発が捉えられました。今回、この超新星が通常の500倍ものエネルギーで輝いていたとする研究成果が発表されています。

■衝撃波が周囲のガスに衝突したことで非常に明るく輝いたか

SN 2016apsを描いた想像図(Credit: M. Weiss)

Matt Nicholl氏(バーミンガム大学)らの研究チームが調べたのは、「りゅう座」の方向およそ30億光年先にある銀河で発生した「SN 2016aps」です。距離が離れているために、地球からでは最大でも18等ほどの明るさで観測された現象でした。

研究チームが発見から4年間の追跡調査を実施した結果、SN 2016apsは「対不安定型超新星」(※)あるいは「脈動性対不安定型超新星」だった可能性があり、放出されたエネルギーは典型的な超新星の10倍に達していたことが判明しました。

※…大質量星の内部で起きているとみられる「電子と陽電子の対生成」にともなう不安定性が原因とされる超新星爆発の一種

さらに研究チームによると、典型的な超新星で可視光(人の目に見える光)として放射されるのはエネルギー全体の1パーセントに過ぎないとされていますが、SN 2016apsで可視光として放射されたのはエネルギー全体のおよそ半分に達しており、典型的な超新星と比べて500倍も明るい爆発だったとみられています。

研究チームでは、SN 2016apsを引き起こした恒星は晩年に脈動しつつ周囲に大量のガスを放出したと推定。放出されたガスに爆発の衝撃波が到達して運動エネルギーの多くが電磁波に変換された結果、通常の500倍で輝くきわめて明るい超新星として観測されたと考えています(これほど明るく輝く原因となったガスの放出を、Nicholl氏は「火に油を注いだ」と表現しています)。

また、大質量の星では恒星風によって大部分が失われてしまうはずの水素ガスが、SN 2016apsでは高いレベルで検出されました。超新星爆発の時点で水素ガスが残っていた理由について研究チームは、SN 2016apsを引き起こしたのは2つの恒星が合体してできた大質量星であり、合体する前の恒星が単一の大質量星よりも軽かったことから、より長い期間に渡り水素ガスが保持された可能性を指摘しています。

なお、研究に参加したEdo Berger氏(ハーバード大学)は、SN 2016apsの研究を通して宇宙の初代星(ファーストスター)による同様の超新星爆発を特定する道がひらかれたとコメントしており、チリのヴェラ・ルービン天文台で建設が進められている「大型シノプティック・サーベイ望遠鏡(LSST)」によって、宇宙誕生から10億年以内の超新星が観測されることに期待を寄せています。

 

Image Credit: M. Weiss
Source: ハーバード・スミソニアン天体物理学センター
文/松村武宏

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