数年以内に登場する予定の「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡や「欧州超大型望遠鏡(ELT)」といった次世代の観測手段の準備と歩調を合わせるように、太陽系外惑星の環境にも関わるさまざまな理論上の研究も進められています。

今回、窒素が主成分で気圧が高い惑星では、気圧が低い場合よりもハビタブルゾーンが広くなるとした研究成果が発表されています。

■太陽系の場合、窒素主体で5気圧の大気ならハビタブルゾーンが2割拡大される

太陽系外惑星「K2-18b」(右)を描いた想像図(Credit: ESA/Hubble, M. Kornmesser)

地球は生命の存在が唯一知られている天体であり、生命が存在できる系外惑星を探す上での重要な指標となっています。従来、恒星の周囲に存在するハビタブルゾーンを計算する上では現在の地球の大気における窒素の量が参考にされてきましたが、地球のような岩石質の惑星では窒素が主体でも大気の圧力がさまざまである可能性が指摘されています。

今回、Ramses Ramirez氏(東京工業大学地球生命研究所)らの研究チームは、窒素が主成分の大気がある惑星を仮定した上で、3パターンの気圧(1気圧、2気圧、5気圧)ごとにハビタブルゾーンの広がり方をシミュレートしました。その結果、より気圧が高い窒素大気をもつ惑星ほど、ハビタブルゾーンの内側の境界線が恒星に近づく傾向が示されました。

研究チームによると、高圧の窒素大気では恒星から届いたエネルギーが宇宙空間に反射されやすくなり、同時に雲による冷却効果も期待できるようです。太陽系の場合、1気圧の窒素大気と5気圧の窒素大気を比べると、5気圧のほうがハビタブルゾーンは20パーセント拡大されることになるといいます。

■温室効果は暴走しやすいことも明らかに

また、今回の研究では、現実に即したモデルを用いた温室効果の分析も行われています。従来の研究では、F型/G型(太陽を含む)/M型の恒星を周回する1気圧の窒素大気を持つ惑星では、平均的な表面温度が340ケルビン(摂氏67度)を超えると比較的ゆるやかに進行する「湿潤温室効果」が始まり、地球の表面にあるのと同程度の水であれば45億年ほどかけて失われると考えられてきました。

いっぽう、Ramirez氏らのシミュレーションでは同じ条件の惑星において湿潤温室効果は起きず、より激しく進行する「暴走温室効果」に陥ってしまうことが示されました。研究チームによると、シミュレーションで湿潤温室効果が起きると示されたのは、窒素大気により反射されやすい青い光を多く放つA型の恒星を周回する場合に限られたといいます。

過去の一部の研究では金星の水が湿潤温室効果によって失われたとされていますが、Ramirez氏は金星で湿潤温室効果は起きず、もしもかつての金星に水があったとしても「暴走温室効果によって急速に失われたものと考えられる」とコメントしています。

 

Image Credit: ESA/Hubble, M. Kornmesser
Source: ELSI
文/松村武宏

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