
アメリカの宇宙企業Rocket Lab(ロケットラボ)は2026年2月12日、同社のサブオービタル(準軌道)ロケット「HASTE(ヘイスト)」による極超音速テストミッション「Cassowary Vex」を2月下旬に実施すると発表しました。打ち上げはアメリカ・バージニア州ワロップス島にあるRocket Labの射場から行われる予定です。

6か月で4回目の極超音速テスト
HASTE(Hypersonic Accelerator Suborbital Test Electron)は、Rocket Labの小型ロケット「Electron(エレクトロン)」をベースに開発されたサブオービタルロケットです。サブオービタル飛行に最適化された改良型の上段と大型フェアリングを備え、最大700kgのペイロードを搭載可能。速度・高度・飛行経路を細かく設定したテストに対応し、最大マッハ20(秒速約6.8km)に達する条件での極超音速試験を実現するとされています。
今回のミッションの顧客は、アメリカ国防省のDefense Innovation Unit(DIU=国防イノベーションユニット)とオーストラリアの航空宇宙企業Hypersonix(ハイパーソニクス)です。なお、ミッション名とは別に、打ち上げ名(ローンチネーム)は「That's Not A Knife(訳:それはナイフじゃないよ)」とされています。ペイロードを開発したHypersonixがオーストラリア企業であることから、同国を舞台にした映画『クロコダイル・ダンディー』の有名なセリフに由来するとみられます。
HASTEによる極超音速テストはこれが7回目の打ち上げで、2025年9月以降の約6か月間では4回目となります。
世界初の全3Dプリント製極超音速実証機「DART AE」
今回のミッションでHASTEに搭載されるのは、Hypersonixが開発した極超音速飛行実証機「DART AE」です。HASTEロケットによって極超音速の初期飛行条件まで加速された後に分離し、自律的に事前計画された経路を飛行します。飛行中は方向や高度を大きく変えながら極超音速を維持できるといいます。

DART AEの全長は約3.5m、質量は約300kg、航続距離は最大1000km、飛行速度はマッハ7に達するとされています。水素を燃料とするスクラムジェットエンジン「SPARTAN」を搭載しており、超音速で流入する空気を減速させずに燃焼で利用する空気吸入式エンジンのため、酸化剤を搭載する必要がなく、空気を圧縮するためのタービンなども不要であるため軽量化が可能です。
機体構造(エアフレーム)全体が耐熱合金による3Dプリントで製造されているのも大きな特徴で、Hypersonixによると全3Dプリント製の極超音速機は世界初とのことです。今回の飛行試験に先立ち、DART AEは振動試験などの主要な環境試験をクリアしたことが報告されています。
極超音速テスト事業と今後の展望
HASTEは2023年6月の初打ち上げ以降、これまでに6回の打ち上げをすべて成功させており、前述の通り今回のCassowary Vexが7回目となります。Rocket Labは極超音速テストのコスト障壁を引き下げ、テスト頻度を高めることで、アメリカとその同盟国の極超音速技術開発を加速させることを目指しています。
なお、Rocket Labは2025年にElectronを21回打ち上げて全て成功。年間打ち上げ記録を更新しました。2017年の初飛行以来の通算ミッション数は軌道・準軌道合わせて79回に達しています。同社は現在、衛星コンステレーションの展開や安全保障ミッションに対応する中型ロケット「Neutron(ニュートロン)」の開発も進めています。
文・編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- Rocket Lab - Rocket Lab Prepares To Launch Latest Hypersonic Test Mission for Defense Innovation Unit(2026年2月12日)
- Hypersonix Launch Systems - DART AE
- Interesting Engineering - Rocket Lab announces new Mach 20 hypersonic test launch(2026年2月14日)
- Gunter's Space Page - HASTE























