欧州宇宙機関(ESA)は4月29日、日本と共同で進めている水星探査計画「ベピコロンボ」の、日本側が開発を担当した「水星磁気圏探査機(MMO)」が、4月20日にオランダにあるESAの試験施設に到着したと発表した。MMOはすでに梱包が解かれ、これから欧州側が開発を担当した別の探査機などと組み合わされた後、打ち上げに向けた試験に入る。

ベピコロンボは、ESAと日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同で開発している水星探査機で、JAXAは水星周辺の磁気圏や大気を探査する水星磁気圏探査機(MMO)を、ESAは水星の表面や地下を探査する「水星表面探査機(MPO)」と、MMOとMPOを水星まで送り届けるための「水星遷移モジュール(MTM)」、そしてMMOを太陽の熱から守るためのシールドの開発を担当している。

MPOはすでに熱真空試験を完了し、MTMとの結合も完了した状態にある。一方のMMOも日本で環境試験を通過しており、今後MPO、MTMらと結合した打ち上げ時の状態で、さらに試験が行われる予定となっている。

ベピコロンボは現在のところ、2017年1月に、南米仏領ギアナのギアナ宇宙センターから、アリアン5ロケットで打ち上げられる予定となっている。探査機はまず、ロケットによって地球脱出軌道に投入され、続いてMTMに装備されているイオン・エンジンを使い、減速をするように航行する。地球よりも内側の星に行くためには、加速ではなく減速しなければならないためだ。

そして1回の地球フライバイ、2回の金星フライバイ、そして5回の水星フライバイによって惑星の重力も使って速度と軌道を変え、打ち上げから実に7年をかけ、2024年に水星に到着する計画だ。到着後は約1年間の観測が予定されている。

 

■Space in Images - 2015 - 04 - Unboxing Mercury Magnetospheric Orbiter flight model
http://www.esa.int/spaceinimages/Images/2015/04/Unboxing_Mercury_Magnetospheric_Orbiter_flight_model