アメリカ航空宇宙局(NASA)は12日、オリオン宇宙船のパラシュートの展開を意図的に失敗させ、それでも無事に着陸できるかを見る試験を実施した。
オリオンは現在NASAが月や火星、小惑星に人間を送り込むために開発中の宇宙船で、スペースシャトルとは違い、アポロ宇宙船のようにパラシュートを使って地球に帰還する。オリオン宇宙船の模型を投下させ、パラシュートを展開させる試験はこれまで7回行われているが、8回目となる今回行われたのは、3基あるパラシュートのうち1基が展開しなかった場合の状況を意図的に起こし、無事に帰還できるかを試すものというものだ。
オリオンには3基の大きなパラシュートと、2基のドローグ・パラシュートと呼ばれる小型のパラシュートが搭載されている。ドローグ・パラシュートというのは、メイン・パラシュートを展開する前に機体の姿勢を安定させ、また減速させつつ、メイン・パラシュートを機体から引っ張り出すために用いられるものだ。オリオンの質量ならメイン・パラシュートは2基、ドローグパラシュートは1基で十分着陸させることができるが、予備としてそれぞれ1基余分に搭載している。
試験はアリゾナ州ユマの砂漠地帯にあるアメリカ陸軍のユマ実験場で行われ、高度約7.6kmからオリオン宇宙船を模したカプセルを投下、予定通り1基のドローグ・パラシュートが展開し、その後2基のメイン・パラシュートも展開、そしてカプセルは安全に地上に着陸した。
NASAはすでに昨年12月にドローグ・シュートを1基のみ展開させる試験に成功しており、また今年5月には3回目の試験を行い、より信頼性を上げる狙いだ。
■NASA - NASA'S Orion Lands Safely on Two of Three Parachutes in Test
http://www.nasa.gov/exploration/systems/mpcv/parachute_tests021213.html