ispaceの月着陸機「RESILIENCE」が月フライバイに成功 月の重力圏到達は5月上旬頃

日本の民間企業の株式会社ispaceは2025年2月15日付で、同社の月着陸機「RESILIENCE(レジリエンス)」が月フライバイに成功したと発表しました。

ispaceの月着陸機RESILIENCEとは

日本の民間企業ispaceの月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション2の月着陸機「RESILIENCE(レジリエンス)」(Credit: ispace)
【▲ 日本の民間企業ispaceの月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション2の月着陸機「RESILIENCE(レジリエンス)」(Credit: ispace)】

RESILIENCEはispaceの月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション2 “VENTURE MOON” の月着陸機です。日本時間2025年1月15日にアメリカの民間企業SpaceX(スペースX)の「Falcon 9(ファルコン9)」ロケットで打ち上げられました。

RESILIENCEにはispace EUROPEが開発した小型月面探査車(マイクロローバー)「TENACIOUS(テネシアス)」など6のペイロードが搭載されていて、打ち上げから4~5か月後に寒さの海(Mare Frigoris)の中央付近へ着陸する予定です。

今回はispaceにとって2回目の月着陸ミッションです。1回目のHAKUTO-Rミッション1で同社は日本初・民間企業初の月面軟着陸を目指したものの、ミッションの計画段階で生じた着陸地点の変更にともなうソフトウェアの問題によって推定高度に誤差が生じたため、2023年4月26日に試みられた軟着陸は失敗に終わっています。

10段階のマイルストーンのうち5段階目まで成功

ispaceの月着陸機「RESILIENCE」による月フライバイが行われた日本時間2025年2月15日に高度1万4439kmで撮影された月(Credit: ispace)
【▲ ispaceの月着陸機「RESILIENCE」による月フライバイが行われた日本時間2025年2月15日に高度1万4439kmで撮影された月(Credit: ispace)】

ispaceによると、地球を周回する楕円軌道を飛行していたRESILIENCEは、日本時間2025年2月15日7時43分に月の高度約8400kmを通過して月フライバイに成功しました。

今回のHAKUTO-Rミッション2では10段階のマイルストーンが設定されており、月フライバイは5段階目のSuccess 5にあたります。前回のミッションでは月フライバイは行われておらず、同社にとって今回が初めてとなります。

軌道を変更したRESILIENCEは地球や月を一旦離れるような低エネルギー遷移軌道(※)に移って深宇宙を飛行した後、太陽の重力を利用して2025年5月初旬に月の重力圏へ到達する予定だということです。

※…low-energy transfer orbit。飛行するのに時間はかかるものの、少ない推進剤で月へ向かうことができるタイプの軌道。

ispaceの月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション2 “VENTURE MOON” における月着陸機「RESILIENCE」の打ち上げから月周回軌道到達までの飛行経路を示した図(Credit: ispace)
【▲ ispaceの月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション2 “VENTURE MOON” における月着陸機「RESILIENCE」の打ち上げから月周回軌道到達までの飛行経路を示した図(Credit: ispace)】

相乗り打ち上げの米民間月着陸機は月周回軌道に到達

また、RESILIENCEと同じロケットには、アメリカの民間企業Firefly Aerospace(ファイアフライ・エアロスペース)の月着陸機「Blue Ghost(ブルーゴースト)」も搭載されていました。

Blue Ghostも打ち上げ後しばらくは地球を周回する軌道を飛行していましたが、月に直接向かう軌道に投入された後、一足早く月周回軌道への投入に成功したことが2025年2月13日付でFirefly Aerospaceから発表されています。

Blue Ghostは2025年3月2日に危難の海(危機の海、Mare Crisium)にあるラトレイユ山(Mons Latreille)の近くへ着陸する予定だということです。

 

Source

  • ispace - ispace、ミッション2マイルストーンSuccess 5「月フライバイ」に成功!
  • ispace (X)

文・編集/sorae編集部