アメリカの民間企業Blue Origin(ブルー・オリジン)は2025年1月6日付で、同社の新型ロケット「New Glenn(ニューグレン)」初の打ち上げミッション「NG-1」をアメリカの現地時間2025年1月10日以降に実施すると発表しました。直近の打ち上げ目標日時は日本時間2025年1月10日15時0分で、打ち上げ時間帯は同時刻から3時間です。
New Glennとは?
New GlennはBlue Originが開発した2段式液体燃料ロケットです。ブースター(1段目)は最低でも25回の再使用が可能な設計で、推進剤に液化天然ガス(LNG)と液体酸素を採用した同社の「BE-4」エンジン7基、6本の着陸脚を搭載。上段(2段目)は推進剤に液体水素と液体酸素を採用した同社の「BE-3U」エンジン2基を搭載しています。
全長は98mで、打ち上げ時にペイロード(搭載物)を保護するフェアリングの直径は7m。打ち上げ能力は低軌道(LEO)に45トン、静止トランスファー軌道(GTO)に13トンとされています。打ち上げはアメリカ・フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地第36発射施設で行われ、上段分離後のブースターは大西洋上で待機している回収船にランディングする形で回収されます。
NG-1では輸送プラットフォームの実証機を搭載 ブースターのランディングにも挑戦
NG-1はNew Glennの初飛行となるミッションで、主な目標は安全に地球周回軌道へ到達すること。ペイロードにはBlue Originが運用を予定している輸送プラットフォーム「Blue Ring(ブルーリング)」の実証機「Blue Ring Pathfinder」が搭載されます。
Blue Ringは13箇所の取り付けポートに合計3トン(うち機体先端の1箇所には最大2.5トン)のペイロードを搭載できる宇宙機で、複数の軌道に遷移したり、静止軌道・シスルナ(地球と月の間の空間)・惑星間空間にペイロードを輸送したりすることが可能とされています。Blue Ring PathfinderはBlue Ringの運用能力をテストするための実証機で、New Glennの上段からは分離されず、搭載されたまま6時間にわたって通信機能のテストなどが行われる予定です。
また、New Glennは今回が初飛行ながら、ブースターは洋上の回収船へのランディングを試みます。Blue Originはサブオービタル飛行(準軌道飛行)用のロケット「New Shepard(ニューシェパード)」で、すでにブースターの着陸・再使用の経験を積んでいます。New Glennの初飛行では上段の軌道到達とあわせて、ブースターがランディングに成功するかどうかも注目です。
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Source
- Blue Origin - New Glenn Launch Targeting No Earlier Than January 10
文・編集/sorae編集部