インド宇宙研究機関(ISRO)は8月5日、2023年7月に打ち上げられた月探査ミッション「チャンドラヤーン3号」の探査機を月周回軌道へ投入することに成功したと発表しました。成功すればインド初となる月面着陸は2023年8月23日に予定されています。【2023年8月6日7時】
チャンドラヤーン3号はISROによる3回目の月探査ミッションです。探査機はランダー(着陸船)、ローバー(探査車)、推進モジュールで構成されていて、ランダーには地震計(月震計)など3基、ローバーにはX線分光器など2基の観測装置が搭載されています。着陸予定地点は月の表側の南緯70度付近です。
ISROは2019年にオービター(月周回衛星)、ランダー、ローバーで構成された月探査ミッション「チャンドラヤーン2号」の探査機を打ち上げましたが、月周回軌道への投入には成功したものの、ランダーの月着陸には失敗しており、今回はインドにとって2回目の月面着陸挑戦となります。なお、チャンドラヤーン2号のオービターは現在も運用が続いており、チャンドラヤーン3号の着陸機との通信の中継に用いられます。
2023年7月14日に打ち上げられて地球を周回する軌道に投入されたチャンドラヤーン3号の探査機は、7月25日までに推進モジュールのエンジンを複数回噴射して遠地点(軌道上で地球から最も遠ざかる点)高度を徐々に上昇。日本時間2023年8月1日未明に月へ向かう軌道(月遷移軌道)へ投入するための噴射(Trans Lunar Injection:TLI)に成功していました。
ISROによると、チャンドラヤーン3号の探査機を月周回軌道へ投入するための噴射(Lunar Orbit Insertion:LOI)は日本時間2023年8月5日22時42分にスタート。30分35秒間に渡るエンジン噴射を行った結果、計画通り高度164km×1万8074kmの楕円軌道へ投入することに成功しました。
今後、チャンドラヤーン3号の探査機は複数回のエンジン噴射を行って徐々に軌道を修正し、高度100kmの円軌道に到達したところで推進モジュールが分離されます。ランダーによる月面着陸は2023年8月23日に予定されているということです。また、分離された推進モジュールはその後も軌道に留まり、搭載されている偏光分光観測装置を用いた実験が3~6か月かけて行われる予定です。
https://twitter.com/isro/status/1687829587018100736
【▲ チャンドラヤーン3号の月周回軌道投入成功を伝えたISROの投稿】
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文/sorae編集部