
(引用元:ESA/Hubble)
こちらはハッブル宇宙望遠鏡の広視野惑星カメラ2(WFPC2)で撮影された、球状星団「M4」の一部を拡大した画像です。画像には無数の恒星がひしめいていますが、◯で囲まれた場所に、今回紹介する「ある特別な天体」が位置しています。

M4は、さそり座の方向、地球から約5500光年先にある球状星団です。地球に最も近い球状星団のひとつとして知られており、推定年齢は約127億年。観測可能な宇宙の年齢(約138億年)に迫るほどの古い天体です。
話を本題に移しましょう。
◯が示しているのは、ミリ秒パルサー「PSR B1620-26」の位置です。パルサーとは高速で自転する中性子星のことで、PSR B1620-26は1秒間に約100回も回転しています。このパルサーはヘリウム白色矮星と連星系を形成しており、2つの星は約半年の周期で互いの周囲をまわっています。
1990年代前半、この連星系の周期的なふるまいを説明するには、第3の天体が必要であることがわかりました。そして2003年、ハッブル宇宙望遠鏡の観測によって白色矮星の存在が確認されるとともに、第3の天体が木星の約2.5倍の質量を持つ系外惑星であることが裏付けられました。この惑星は「PSR B1620-26 b」、通称「メトシェラ(Methuselah)」と呼ばれています。
メトシェラが特別なのは、その年齢です。球状星団M4の星々はほぼ同時期に形成されたと考えられており、メトシェラもまた約127億年前に誕生したとみられています。これは既知の系外惑星のなかで最も古い年齢であり、地球(約45億年)の約3倍にあたります。宇宙が誕生してからわずか10億年ほどの時代に、すでに惑星が形成されていたことを示す強力な証拠となっています。
なお、この三重連星系は球状星団の中心部へ徐々に引き寄せられつつあり、10億年後には他の星と接近遭遇するとみられています。その際の重力によってメトシェラがはじき出され、星団の外へ放り出される孤独な「浮遊惑星」になるかもしれないと予測されています。
※…「メトシェラ」の名は旧約聖書に登場する最長寿の人物メトシェラに由来しています。同じ名前で呼ばれる恒星「メトシェラ星(HD 140283)」は、てんびん座の方向にある別の天体で、推定年齢が約140億年とされる古い恒星として知られています。
編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- ESA/Hubble opo0319j "Detail from HST/WFPC2 with Location of Pulsar"
- HubbleSite "Oldest Known Planet Identified" (2003)
- Sigurdsson et al. "A Young White Dwarf Companion to Pulsar B1620-26: Evidence for Early Planet Formation" (Science, 2003)























