
こちらは、ジェミニ天文台のジェミニ北望遠鏡で観測した惑星状星雲「NGC 1514」。おうし座の方向、地球から約1500光年先にあります。

デコボコな形が特徴的な「クリスタルボール星雲」
「クリスタルボール(水晶玉)星雲(Crystal Ball Nebula)」という美しい愛称を持つNGC 1514は、「惑星状星雲」と呼ばれる種類の天体です。
太陽のような恒星は、晩年を迎えると主系列星から赤色巨星に進化し、外層から周囲へとガスや塵(ダスト)を放出するようになります。やがて、ガスを失った赤色巨星のコア(核)が白色矮星へと移り変わる段階(中心星)になると、放出されたガスが星から放射された紫外線によって電離して光を放ち、惑星状星雲として観測されるようになります。
ちなみに、「惑星状」星雲という名前は、昔の望遠鏡で見た様子が惑星のように丸い姿だったことから、18世紀の天文学者たちによって名付けられました。実際の惑星とは関係のない天体ですが、その名残として現在でも惑星状星雲と呼ばれ続けています。
NOIRLab(アメリカ国立光学・赤外天文学研究所)によれば、一般的な惑星状星雲は比較的なめらかで球状に近い形をしていますが、NGC 1514はデコボコと非対称なガスの殻(シェル)を持っているという点がユニークです。中心星からの強烈な放射によって、ガスの温度は約1万5000ケルビンという高温にまで熱せられているといいます。
中心にひそむ連星が作り出した複雑なガスの殻
画像を見ると、星雲の中心でひとつの星が明るく輝いているように見えます。しかし実際には、NGC 1514の中心部には2つの星からなる連星がひそんでいると考えられています。NOIRLabによると、この2つの星は約9年周期で互いの周りを公転しており、これは惑星状星雲の中心にある連星としては最も長い軌道周期だといいます。
中心に連星があることは、現在私たちが見ている複雑ででこぼこしたNGC 1514の形にも関係があるといいます。かつて太陽の数倍の質量を持っていた連星のうちの1つが寿命の終わりに外層を放出し、そのガスが連星系の強力で非対称な恒星風や軌道運動の影響を受けることで、このような形態になったと推測されています。
冒頭の画像はNOIRLabから2026年5月21日付で公開されています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- NOIRLab - Gaze into the Crystal Ball Nebula and See the Light Emitted by a Dying Star 1500 Years Ago























