こちらはハワイのマウナケア山で撮影された「紫金山(ツーチンシャン、ツチンシャン)・アトラス彗星」(Tsuchinshan-ATLAS、C/2023 A3)です。国立天文台(NAOJ)ハワイ観測所のサポートアストロノマー、ベラ・マリア・パッセガー(Vera Maria Passegger)さんが、2024年9月27日と2024年10月2日の朝5時頃に撮影しました。
日の出前の空に長く尾を伸ばした紫金山・アトラス彗星の姿には神秘的な美しさを感じます。撮影したパッセガーさんは「彗星の尾が長くてびっくりしました。空に向かって10度以上伸びており、この長さは満月20個分に匹敵します」とコメントしています。
2023年1月に発見された紫金山・アトラス彗星は、オールトの雲(※太陽から数万天文単位付近にあるとされる小さな天体が球殻状に集まっている領域)から来たと考えられていて、日本時間2024年9月28日に太陽に最接近しました。現在は双曲線軌道を描いていることから、この後は太陽系を離れていくと予想されています。
紫金山・アトラス彗星は日本でも見られる?
国立天文台によると、紫金山・アトラス彗星は日本時間で2024年10月13日に地球に最接近しますが、この頃から西の空で観察できるようになります。東京では2024年10月12日頃から日没後の西の空に見え始め、その位置は日を追うごとに高くなり、次第に暗くなっていくと予想されています。
紫金山・アトラス彗星の明るさは10月12日~15日頃は1.5~3等と予想されています(※彗星の状況によって変化する可能性があります、以降の明るさ予測についても同様)。数値上は肉眼でも見える明るさではあるものの、日が沈んで間もない西の低い空に位置すること、点状に見える恒星とは違って彗星はぼんやりと見えることから、最接近頃の肉眼での観測は容易ではなく、望遠鏡や双眼鏡を使っても簡単ではないということです。
最も観察しやすいとされる時期は10月16日~10月20日頃で、明るさは2~4等と予想されています。最接近頃に比べれば暗くはなるものの、空の暗い場所であれば肉眼でもぼんやりとした姿がかすかに見える可能性があり、双眼鏡・望遠鏡を使った観察や適切な設定をしたカメラでの撮影もこの時期にチャレンジしやすくなるようです。明るい金星を目印に、その右上を探してみるのが良さそうです。
その後の10月21日~10月31日頃の明るさは3~6等程度で、暗い空でも肉眼で観察するのは難しくなりそうですが、双眼鏡・望遠鏡では引き続き観察できそうだということです。この目で彗星を見た記憶がない筆者も、紫金山・アトラス彗星の観察に挑戦してみたいと思います!
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文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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Last Updated on 2024/10/11