こちらの画像、一体何を撮影したものなのかわかりますでしょうか?
これは2017年4月26日に土星探査機「Cassini(カッシーニ)」が連続撮影した土星の画像を並べたもので、1枚の画像(512×512ピクセル)には土星表面のごく一部が写っています。左上の穴のように見えるものは土星の北極点にある巨大なハリケーンで、ここから土星の北緯18度に至る細長い範囲が捉えられています。
1997年10月に打ち上げられたカッシーニは、7年後の2004年6月に土星へ到着。2017年9月に土星の大気圏へ突入するまでの13年間、カッシーニは土星やその衛星を観測し続けました。打ち上げから数えれば、カッシーニのミッションは20年にわたります。
カッシーニは2017年4月23日から土星大気圏突入までの間に「Grand Finale(グランドフィナーレ)」と呼ばれる最後のミッションを行っています。このミッションではカッシーニがこれまでになく土星に接近する軌道(約1週間で1周)に入り、未知の領域であった土星本体と環の間で観測データを得ることが計画されました。
冒頭の画像は最初の接近時に撮影されたもので、合計137枚の画像が北緯55度を中心につなぎ合わされています。NASAのジェット推進研究所(JPL)によると、画像が細長くつなぎ合わされていることから「noodle」(ヌードル、麺)と呼ばれているそうです。
撮影中、カッシーニの高度は7万2400kmから8374km(いずれも雲長からの高度)まで下がっていったため、1枚の画像に写っている範囲も徐々に狭くなっていきました(左上から右下にかけて画像が段々と小さくなっていくのはそのためです)。次の動画には137枚の画像を連続表示したタイムラプスと、カッシーニが土星のどこを撮影したのかが示されています。
【▲ NASA: Cassini's First Fantastic Dive Past Saturn】
(Credit: NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute/Hampton University)
関連:全人類が暮らす点のような地球の姿。土星探査機カッシーニが14億km彼方から撮影
Source
- Image Credit: NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute/Hampton University
- NASA/JPL - PIA21617: Cassini "Noodle" Mosaic of Saturn
文/松村武宏