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NASA「アルテミスII」ミッションの打ち上げ迫る 月周辺の有人飛行に向けてクルーが到着

アメリカが主導する有人月探査計画「Artemis(アルテミス)」で初めての有人ミッションとなる「Artemis II(アルテミスII)」の打ち上げが、いよいよ数日以内に迫っています。

アメリカの現地時間2026年3月27日には、Artemis IIミッションのクルー4名がアメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターに到着しました。NASA(アメリカ航空宇宙局)によれば、打ち上げは早ければアメリカ東部夏時間2026年4月1日18時24分(日本時間翌2日7時24分)から120分の時間帯(ウィンドウ)に実施される予定です。

歴史的なテスト飛行に挑むのは4名のクルー

Artemis IIは、NASAの大型ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」と有人宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」の有人飛行試験という位置付けです。月着陸こそ行わないものの、1972年12月の「Apollo 17(アポロ17号)」以来およそ半世紀ぶりに、有人で月周辺の飛行を行います。

ケネディ宇宙センターに到着したArtemis II(アルテミスII)ミッションのクルー。左から:CSAのJeremy Hansen宇宙飛行士、NASAのChristina Koch宇宙飛行士、NASAのReid Wiseman宇宙飛行士、NASAのVictor Glover宇宙飛行士(Credit: NASA/Kim Shiflett)
【▲ ケネディ宇宙センターに到着したArtemis II(アルテミスII)ミッションのクルー。左から:CSAのJeremy Hansen宇宙飛行士、NASAのChristina Koch宇宙飛行士、NASAのReid Wiseman宇宙飛行士、NASAのVictor Glover宇宙飛行士(Credit: NASA/Kim Shiflett)】

Orion宇宙船に搭乗するのは、コマンダーを務めるNASAのReid Wiseman宇宙飛行士、パイロットを務めるNASAのVictor Glover宇宙飛行士、ミッションスペシャリストを務めるNASAのChristina Koch宇宙飛行士、およびCSA(カナダ宇宙庁)のJeremy Hansen宇宙飛行士です。

3月27日にケネディ宇宙センターへ到着した際に行われた記者会見において、クルーたちはテスト飛行であることの現実的な難しさを冷静に受け止めつつも、強い意気込みを語りました。天候や機体の状況次第で打ち上げが数日、あるいは数か月延期される可能性も十分に考慮しており、「期待せずに準備する」という柔軟な姿勢で臨んでいるといいます。

また、Koch宇宙飛行士は今回のミッションで深宇宙を飛行する初の女性宇宙飛行士となりますが、個人の記録よりも、今後の月面着陸を目指すミッションの基礎を築き、全員が安全に帰還することが最優先の目標であると強調しました。

宇宙船に同乗するマスコット「Rise」

今回のフライトでは、無重力状態になったことを視覚的に示す無重力インジケーター(ゼロGインジケーター)と呼ばれるマスコットが同乗します。クルー到着時の会見では、「Rise(ライズ)」と命名されたマスコットも紹介されました。

Artemis IIミッションの無重力インジケーターに選ばれたマスコット「Rise」(Credit: NASA)
【▲ Artemis IIミッションの無重力インジケーターに選ばれたマスコット「Rise」(Credit: NASA)】

NASAによれば、Riseは世界50か国以上から寄せられた2600件を超える応募の中から選ばれたもので、カリフォルニア州の小学生Lucas Yeさんが考案。1968年12月の「Apollo 8(アポロ8号)」でクルーが撮影した有名な写真「地球の出(Earthrise)」に着想を得たもので、地球をイメージした帽子をかぶる月のキャラクターとしてデザインされています。

可愛らしいマスコットですが、その姿には人類が再び月へと向かい、そこから故郷である地球を見つめ直すという、Artemis計画の象徴的な意味合いが込められています。

1972年12月以来となる有人での月周辺の飛行

Artemis IIは、打ち上げから地球帰還まで約10日間のミッションです。

まず、SLSで打ち上げられたOrion宇宙船は、地球を周回する楕円軌道に投入されます(図の1~5)。SLS上段(2段目)から分離したOrion宇宙船は、後のミッションで実施される月着陸船などとのランデブーやドッキングに備えて、上段をターゲットとした近傍運用の実証を実施します(図の6、および右端の枠内)。

実証試験後のOrion宇宙船は地球を周回しながら各種システムの検証などを行い、2日目に月へ向かうための主エンジン噴射を行います(図の9)。片道4日間の軌道に乗ったOrion宇宙船は、地球と月を囲む細長い「8」の字を描く自由帰還軌道(free-return trajectory)を飛行。月の裏側を通過(図の11)した後に、地球の大気圏に再突入して帰還します(図の13~15)。

Artemis II(アルテミスII)ミッションの概要図(Credit: NASA)
【▲ Artemis II(アルテミスII)ミッションの概要図(Credit: NASA)】

なお、Artemis IIミッションのOrion宇宙船は前述の通り自由帰還軌道を飛行するため、月を周回する衛星軌道には入りません。より正確には月フライバイ(接近通過)にあたりますが、月の裏側をぐるりと回り込む経路であることや、NASAも「flyby」とともに「around the Moon」という表現を用いていることを踏まえて、記事のタイトル等では飛行経路をイメージしていただきやすいように「月周回ミッション」と表記しています。

現地時間4月1日の気象条件は良好な予報

前述の通り、Artemis IIミッションの直近の打ち上げ予定日はアメリカの現地時間で2026年4月1日ですが、打ち上げ期間は4月6日までの連日が設定されています。

NASAによると、3月29日の時点では、4月1日の天候が打ち上げ条件を満たす確率は80%と良好な予報が出されています。ただし、雲の厚さや局地的な強風が懸念事項として注視されており、NASAの気象チームは極低温推進剤の充填からSLSのリフトオフに至るまで、気温や風速、発雷確率などの厳密な気象基準に基づいて安全性を評価し続けるということです。

Artemis IIミッションの成功は、今後の持続的な月面探査や将来の有人火星探査に向けた大きな試金石となります。世界中が注目する本ミッションの打ち上げを、期待とともに見守りましょう!

ケネディ宇宙センター39B射点のSLSロケットとメディアのカメラマンたち。2026年3月29日撮影(Credit: NASA/Bill Ingalls)
【▲ ケネディ宇宙センター39B射点のSLSロケットとメディアのカメラマンたち。2026年3月29日撮影(Credit: NASA/Bill Ingalls)】

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典