インド宇宙研究機関(ISRO)は3月28日、航法衛星「IRNSS-1D」を搭載したPSLVロケットの打ち上げに成功した。IRNSSはインド周辺地域を対象とした衛星測位システムで、IRNSS 1Dは同システムにとって4機目の衛星となる。

ロケットはインド標準時2015年3月28日17時19分(日本時間2015年3月28日20時49分)、インド南部にあるサティシュ・ダワン宇宙センターの第2発射台(SLP)から離昇した。ロケットは順調に飛行し、約約19分25秒後に衛星を分離した。

投入された軌道は近地点高度282.52km、遠地点高度2万0644kmのサブ静止トランスファー軌道で、今後衛星のスラスターを4回噴射し、高度3万6000km、軌道傾斜角30.5度、東経111.75度の対地同期軌道へと移行する予定だ。

IRNSS 1Cはインド周辺地域を対象とした衛星測位システム、IRNSSを構成する3機目の衛星となる。IRNSSという名前もIndian Regional Navigation Satellite System(インド地域航法衛星システム)の頭文字から取られている。インド周辺限定であるため、全地球測位システムではなく、日本が構築を目指している準天頂衛星システムに近い。また発信する信号は、米国のGPSと互換性を持つように造られている。

衛星の寸法は1.58 x 1.50 x 1.50mで、打ち上げ時の質量は1425kg。設計寿命は10年が予定されている。

IRNSSは全7機の衛星が打ち上げられる計画で、そのうち3機が静止軌道に、また4機が赤道から約30度傾いた対地同期軌道(傾いた静止軌道)に投入される。2013年7月1日に打ち上げられたIRNSS 1Aと、2014年4月4日に打ち上げられたIRNSS 1Bは約30度傾いた対地同期軌道に、2014年10月16日に打ち上げられたIRNSS 1Cは静止軌道に入っている。来月にはIRNSS-1Eの打ち上げが予定されており、2016年までに全7機が揃う予定だ。

PSLVはISROが運用するロケットで、PSLVとはPolar Satellite Launch Vehicleの頭文字から取られている。その名前からも分かる通り、極軌道への打ち上げに特化したロケットだ。今回で29機目の打ち上げとなり、実運用に入ってからは26機目の打ち上げとなった。試験機と実運用機のそれぞれ1号機以外は失敗はなく、25機連続成功という安定した打ち上げを続けている。

今回の打ち上げに使われたのはPSLV-XLと呼ばれる構成で、これはPS0M-XLと名付けられたブースターを6基装備していることを表している。PSLVにはもうひとつ、ブースターを持たないPSLV-CAと呼ばれる構成もあり、現在はこの2種類が主に運用に就いている。

 

■PSLV-C27 Successfully Launches India's Fourth Navigation Satellite IRNSS-1D - ISRO
http://www.isro.gov.in/update/28-mar-2015/pslv-c27-successfully-launches-indias-fourth-navigation-satellite-irnss-1d