米航空宇宙宇宙局(NASA)の新型宇宙船オリオン(オライオン)の無人試験機が、日本時間今夜21時5分、いよいよ宇宙へ飛び立つ。すでにロケットはオリオンを搭載した状態で、フロリダ州ケープ・カナヴェラル空軍ステーションのSLC-37Bに立っており、打ち上げの時を待っている。
打ち上げ時間は米東部標準時2014年12月4日7時5分(日本時間2014年12月4日21時5分)で、打ち上げが可能な時間帯(ローンチ・ウィンドウ)は9時44分(同23時44分)まで確保されている。
すでにロケットへの推進剤の充填は始まっており、準備は着々と進んでいる。現時点でトラブルなどの情報はなく、また天候も問題ない見込みとのことだ。
オリオンはNASAとロッキード・マーティン社が開発中の宇宙船で、スペースシャトルの「次」に当たるNASAの宇宙船だ。地球低軌道までにしか人を運べなかったスペースシャトルとは違い、オリオンはアポロ宇宙船のように月へ、そしてさらにその先の火星や小惑星へも人を運ぶことができる宇宙船として開発が進められている。
今回のミッションはEFT-1(Exploration Flight Test-1)と呼ばれており、オリオン宇宙船の試験機をデルタIVヘビーに搭載して宇宙へ打ち上げられる。今回は無人での飛行となるが、宇宙飛行士が乗るクルー・モジュールは本番同様に造られており、宇宙空間の高い放射線や、温度環境の変化にどう影響するかなどが調べられる。
打ち上げ後、オリオンはまず地球を1周し、続いてロケットの第2段エンジンに再点火し、高度約5,800kmにまで到達する楕円軌道へ移る。オリオンはそこから秒速約9kmで大気圏に再突入し、カリフォルニア沖の太平洋上に着水する。この試験により、オリオンの電子機器や耐熱システム、パラシュートなどが設計通り機能するかが確認される。ミッション時間は約4時間30分の予定だ。
EFT-1はクルー・モジュールの耐熱システムやパラシュートなどの機能確認が主目的であるため、サービス・モジュールや脱出システムは同じ質量で造られたダミーで、機能はしない。
このEFT-1が完了した後、得られたデータからさらにオリオンの開発が進められ、そして2018年11月に探査ミッション1(EM-1、Exploration Mission 1)が実施される予定となっている。EM-1でもオリオンは無人だが、打ち上げるロケットには、現在オリオンと並行して開発が行われている新型ロケットのスペース・ローンチ・システム(SLS)が使われる。EM-1では地球から月まで行き、月の裏側を回って地球に帰還するルート(自由帰還軌道)での飛行が行われ、オリオンの全システムと、SLSの能力が試験される。
EFT-1とEM-1が無事に完了すれば、いよいよ次はオリオンに実際に宇宙飛行士を乗せた、有人飛行が行われる予定だ。
■Orion
http://blogs.nasa.gov/orion