ケネディ宇宙センターのロケット組立棟で撮影された「サターンV」(左)と「SLS」(右)(Credit: NASA/Glenn Benson)

【▲ ケネディ宇宙センターのロケット組立棟で撮影された「サターンV」(左)と「SLS」(右)(Credit: NASA/Glenn Benson)】

2つのロケットの写真が並べられたこちらの画像、左側に写っているのは有名な「サターンV」ロケット、右側に写っているのは近いうちに初飛行を迎える予定の「SLS(スペースローンチシステム)」です。写真はどちらもアメリカ航空宇宙局(NASA)ケネディ宇宙センターのロケット組立棟(VAB)で撮影されました。

サターンVは半世紀前のアポロ計画で使われたロケット(全長110m)です。写真の機体はサターンVの初飛行となった無人の「アポロ4号」(1967年11月9日打ち上げ)に使われました。いっぽう、SLSは現在NASAが開発中の新型ロケット(写真のブロック1は全長98m)で、半世紀ぶりの有人月面探査を行うアルテミス計画などで使われる予定です。

 VABから運び出されるサターンV(左)とSLS(右)。どちらも移動式発射台の上で組み立てられた(Credit: NASA/Aubrey Gemignani)

【▲ VABから運び出されるサターンV(左)とSLS(右)。どちらも移動式発射台の上で組み立てられた(Credit: NASA/Aubrey Gemignani)】

SLSは初号機の組み立てが2021年10月に完了し、去る2022年3月18日には初めてのロールアウト(射点への移動作業)が実施されました。2枚目の画像に使われている写真はVABから運び出されるロケットを捉えたもので、1枚目と同じく左側にサターンV右側にSLSが写っています。

このSLS初号機はアルテミス計画最初のミッション「アルテミス1」に用いられます。アルテミス1は新型宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」およびSLSの無人テスト飛行にあたるミッションです。月周辺を飛行したオリオン宇宙船は、打ち上げから4~6週間後に地球へ帰還する予定です。

いっぽう、写真のサターンVは「アポロ14号」(1971年1月31日打ち上げ)で使われた機体です。アポロ14号は事故により月面探査を中止して帰還した「アポロ13号」の次に実施されたミッションで、13号で予定されていたフラマウロ丘陵に着陸しました。

ケネディ宇宙センターの39A射点に立つサターンV(左)と、39B射点に立つSLS(右)(Credit: NASA/Joel Kowsky)

【▲ ケネディ宇宙センターの39A射点に立つサターンV(左)と、39B射点に立つSLS(右)(Credit: NASA/Joel Kowsky)】

3枚目の画像にはケネディ宇宙センターの39A射点で打ち上げの時を待つ「アポロ17号」(1972年12月7日打ち上げ)のサターンV(左)と、39B射点に運ばれたSLS初号機(右)が写っています。最後の有人月面探査ミッションとなったアポロ17号から50年の時を経て射点に立つSLSの姿からは、有人月面探査の新時代が始まりつつあることを実感します。

NASAは2022年4月1日~3日の期間中に、SLS初号機のウェットドレスリハーサル(推進剤の充填やカウントダウンも行う本番さながらのリハーサル)を実施する計画を立てています。ウェットドレスリハーサルを終えたSLS初号機は一旦VABに戻されますが、リハーサルで用いたセンサーの取り外しやバッテリーの充電といった準備を終えた後に再び射点へ運ばれて、打ち上げの時を待つことになります。

39B射点のSLSと移動式発射台、その向こうに見える月。SLSの先端に搭載されているオリオン宇宙船は、月周辺まで無人で飛行した後に地球へ帰還する予定だ(Credit: NASA/Ben Smegelsky)

【▲ 39B射点のSLSと移動式発射台、その向こうに見える月。SLSの先端に搭載されているオリオン宇宙船は、月周辺まで無人で飛行した後に地球へ帰還する予定だ(Credit: NASA/Ben Smegelsky)】

 

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  • Image Credit: NASA
  • NASA - Then and Now: Apollo to Artemis

文/松村武宏