宇宙航空研究開発機構(JAXA)と早稲田大学は2015年10月22日、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォームに設置されている「高エネルギー電子、ガンマ線観測装置(CALET)」にて、テラ電子ボルト(TeV:1兆電子ボルト)という非常に高いエネルギー領域での電子の直接観測を、世界に先駆けて開始したと発表した。
CALETは、最新の検出・電子技術を用いた検出器を搭載し、これまでの観測では困難であった非常に高いエネルギーの電子やガンマ線、陽子・原子核成分の高精度観測やガンマ線バースト現象の測定などが可能な観測機器である。CALETの観測を通じて、
1. 高エネルギー宇宙線の起源と加速のメカニズム
2. 宇宙線が銀河内を伝わるメカニズム
3. 暗黒物質(ダークマター)の正体
などの「宇宙の謎」の解明を目指しているという。
CALETは、今年8月に「こうのとり」5号機で「きぼう」に運ばれ、船外実験プラットフォームに設置された。その後、観測機器の初期検証作業が完了し、現在は検出データの較正・検証作業が進められている。発表によると、その初期検証段階において、TeV領域の電子と思われるものがすでに観測されているという。
CALETの定常観測への移行は、データの較正・検証作業後に予定されており、今後2年以上にわたる高精度な観測によって、観測目的を達成したいとしている。
■JAXA | 国際宇宙ステーション・「きぼう」日本実験棟搭載の高エネルギー電子、ガンマ線観測装置(CALET)により、 世界初のテラ電子ボルト(TeV)領域の電子観測を開始
http://www.jaxa.jp/press/2015/10/20151022_calet_j.html