広告
【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特徴的な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお寄せいただいた画像を紹介しています。(文末に元記事へのリンクがあります)

(引用元:NASA)

こちらは、NASAの火星探査機「バイキング2号(Viking 2)」の着陸機(ランダー)が撮影したユートピア平原(Utopia Planitia)です。バイキング2号が火星着陸後に取得した初のカラー画像で、地表の赤褐色は、鉄を多く含む火山岩が風化したことによるものと考えられています。

アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査機「バイキング2号」の着陸機が撮影した、ユートピア平原の最初のカラー画像(Credit: NASA)
【▲ 火星探査機「バイキング2号」の着陸機が撮影した、ユートピア平原のカラー画像(Credit: NASA)】

バイキング2号は日本時間1975年9月10日3時39分に打ち上げられ、1976年8月7日に火星周回軌道へ入りました。着陸機が周回機(オービター)から分離したのは日本時間1976年9月4日5時19分で、そのまま火星の大気圏へ突入し、同日7時37分50秒に北半球のユートピア平原へ降り立ちました。2026年9月4日は、この着陸から50周年の節目にあたります。

生命の存在を示す明確な証拠は得られず

バイキング2号の主な目的の一つは、火星における生命の可能性を探ることでした。着陸機には、土壌中の生命活動の兆候を調べる3種類の生物学実験装置が搭載されており、ロボットアームで3回にわたって採取した土壌を使った実験が行われました。しかし、その結果は先に着陸したバイキング1号と同様に、生命の存在を示す明確な証拠が得られないというものでした。

広告

一方、バイキング計画による観測からは、現在の火星表面が極端に寒冷かつ乾燥した、生命にとって過酷な環境であることが明らかになりました。こうした知見を受けて、その後の火星探査では、かつて水が存在したと考えられる地形や地下環境など、太古の生命の痕跡が残されている可能性の高い場所が重視されるようになります。

生命探査にとどまらず、バイキング2号は火星の気象や地表環境の観測も担いました。着陸機が捉えた現象の一つが、ユートピア平原の地表に生じた霜です。

バイキング2号の着陸機が1977年9月13日に撮影したユートピア平原の霜。岩の根元や、着陸機のサンプラーアームが掘った溝の中に白く積もっているのが分かる(Credit: NASA/JPL)
【▲ バイキング2号の着陸機が1977年9月13日に撮影したユートピア平原の霜。岩の根元や、着陸機のサンプラーアームが掘った溝の中に白く積もっているのが分かる(Credit: NASA/JPL)】

着陸機のカメラが、火星表面に堆積した霜を明瞭に捉えたのは、このときが初めてでした。ユートピア平原は冬の終わりにあたり、撮影時の気温はマイナス約98℃。約30分後に撮影された画像では霜の範囲が小さくなっており、夜間に生じた霜が日中の気温上昇とともに一部消えていく様子が確認されたとしています。ただし、霜の成分が二酸化炭素なのか水なのか、あるいは双方を含むものなのかは、当時の観測では特定に至りませんでした。

バイキング2号の周回機は1978年7月に運用を終えましたが、着陸機はその後もユートピア平原から観測データを送り続けました。最後のデータが地球へ届いたのは1980年4月11日で、ミッションは翌12日に終了。着陸から約3年7か月にわたった探査はこうして幕を閉じましたが、火星から届けられた画像と観測データは、半世紀を経た今も火星における生命の可能性を探る研究に生かされています。

 

編集/sorae編集部

関連記事

参考文献・出典

元記事を読む