初めて発見された主系列星を公転する太陽系外惑星の種類は次のうちどれ?
1.「ホットジュピター」 2.「ホットネプチューン」 3.「スーパーアース」
■恒星の周囲で初めて見つかった太陽系外惑星「ペガスス座51番星b」
SF物の本や映画には、太陽系を遠く離れた地球以外の星が舞台になったお話などが多くありますよね。でも、太陽系外惑星(系外惑星)が史上初めて発見されてから、まだ30年ほどしか経っていないのです。最初の発見は1992年、パルサー「PSR B1257+12」を公転する太陽系外惑星でした。
ただし、パルサーは重い恒星が超新星爆発を起こした後に誕生する中性子星の一種で、自ら核融合反応で輝く恒星とは異なる天体です。太陽以外の恒星を公転する太陽系外惑星として初めて見つかったのは、1995年に発見された「ペガスス座51番b」でした。
ペガスス座51番星bは太陽よりもやや大きな恒星(主系列星)である主星の「ペガスス座51星」を約4.2日周期で公転しており、その質量は木星の半分弱(約0.46倍)、直径は木星と同じくらいと推測されています。質量が木星に近く、公転周期が短い軌道を公転していることから、ペガスス座51番星bは「ホットジュピター」に分類されています。
ホットジュピターとは、木星のように巨大なガス惑星でありながら、約10日以下という短い周期で1周するほど主星に接近した軌道を公転する系外惑星のことです。ホットジュピターから恒星までの距離は約0.1天文単位(太陽から地球までの距離の約10分の1、約1500万km)程度と非常に近く、その表面は恒星の放射によって高温に熱せられています。
これまで見つかったホットジュピターの中で表面温度が最も高いと考えられているのは、はくちょう座の方向およそ670光年先に位置するホットジュピター「KELT-9b」です。KELT-9bは質量が木星の約3倍、直径が木星の約2倍ある巨大な系外惑星ですが、主星の「KELT-9」を約36時間という短時間で1周するほどの速さで公転しています。
KELT-9bの表面温度は昼側が摂氏4300度、夜側が摂氏2300度と推定されています。太陽の表面温度は摂氏6000度程なので、KELT-9bの表面温度が恒星並みであることがわかりますね。なお、KELT-9bの昼側ではあまりの高温に大気中の水素分子がバラバラになり、夜側で再結合していると考えられています。
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また、主星の近くを公転するホットジュピターの多くは、主星の重力がもたらす潮汐力によって公転と自転の周期が同期した「潮汐固定」(潮汐ロック)の状態にあると考えられています。地球に対して月がいつも同じ面を向けているように、潮汐固定されたホットジュピターは常に同じ面を主星に向け続けることになります。
ちなみに木星の公転周期は約12年、太陽に一番近い惑星である水星でも公転周期は約88日です。ホットジュピターの「1年」がいかに短いか、実感していただけるでしょうか。
【答え】
正解は、1.「ホットジュピター」でした。
なお、ホットネプチューンとは海王星(地球の約17倍)や天王星(地球の約15倍)くらいの質量を持つ系外惑星のうち、主星との距離が1天文単位(約1億5000万km)以下の軌道を公転するものを指します。
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スーパーアースとは質量が地球の数倍から10倍程度で岩石や金属を主成分とする系外惑星のことで、ヨーロッパ南天天文台(ESO)では天の川銀河に存在するスーパーアースの数を数百億、地球から30光年以内だけでも約100個と推定しています。
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当初は木星と同じくらいの質量(地球の約318倍)の巨大な系外惑星しか検出できませんでしたが、観測技術や精度の向上にともない、海王星ほどの質量や、さらに小さな地球に近い質量の系外惑星も検出できるようになりました。2021年6月時点では4758個の系外惑星が確認されています。
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Image Credit: ESO/ NASA / JPL-Caltech
参考: Wikipedia
文/sorae編集部