▲公転周期およそ19時間の系外惑星「LTT 9779 b」(中央手前)を描いた想像図(Credit: Ricardo Ramirez, University of Chile)

チリ大学のJames Jenkins氏らの研究グループは、南天の「ちょうこくしつ座」の方向およそ260光年先にある太陽系外惑星「LTT 9779 b」を発見したとする研究成果を発表しました。

LTT 9779 bは太陽よりも一回り小さな恒星「LTT 9779」のすぐ近く(軌道長半径は約0.017天文単位)をわずか19時間ほどの周期で公転していて、表面温度は摂氏1700度を上回っていると予測されています。発表では「極高温の海王星」「ultrahot Neptune」(ウルトラホットネプチューン)などと表現されており、超高温に加熱された海王星サイズの系外惑星の大気の性質を調べる上で格好の観測対象になると考えられています。

LTT 9779 bの直径と質量はそれぞれ地球の約4.7倍と約29倍で、海王星(直径と質量は地球の約3.9倍と約17倍)よりもやや大きな系外惑星とされています。また、地球2~3個分の質量に相当する水素を主成分とした大気を持つとみられています。

■LTT 9779 bは「海王星砂漠」で見つかった

系外惑星はすでに4000個以上が見つかっており、公転周期が1日未満と短く、恒星などの主星に近い軌道を周回するような系外惑星も幾つか発見されています。しかし研究グループによると、こうした短周期の軌道で見つかっている系外惑星は地球の2倍以下か、あるいは木星に近いサイズのものばかりで、その中間となる海王星に近いサイズのものはこれまで見つかっていなかったといいます。

短周期の軌道に海王星サイズの系外惑星が見つからない理由としては、主星の近くでは水素を主成分とする大気が主星に流れ込んだり、主星が放射する強力なX線や紫外線によって吹き飛ばされやすかったりすると予想されていることから、十分な大気を保持できるほど質量が大きな木星サイズの惑星や、大気を失ったあとに残された地球サイズの惑星しか存在しないからではないかと考えられてきたといいます。

系外惑星の質量や半径と公転周期の関係に注目すると、公転周期が短くて質量や半径が海王星に近い領域にはぽっかりと空白が生じているように見えることから、この領域は研究者から「海王星砂漠(Neptunian Desert)」とも呼ばれています。

ところが、LTT 9779 bはまさにこの海王星砂漠で見つかった海王星サイズの系外惑星でした。研究グループは、別の軌道で誕生したLTT 9779 bが比較的最近になってから現在の短周期の軌道まで移動してきた可能性に言及しており、今後もLTT 9779 bの軌道や大気を観測することで、外側の軌道から移動してきた証拠や大気が失われている様子などを詳しく調べる必要があると指摘しています。

▲系外惑星の質量(上)や半径(下)を縦軸、公転周期を横軸とした分布図。LTT 9779 bは赤丸でプロットされている(Credit: Jenkins et al., 自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター)

 

Image Credit: Ricardo Ramirez, University of Chile
Source: 自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター / IAC
文/松村武宏

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