見事に横向き ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“へび座”の渦巻銀河「UGC 10043」

こちらは「へび座(蛇座)」の方向約1億5000万光年先の渦巻銀河「UGC 10043」の姿。といっても全然“渦巻き”には見えませんが、それはUGC 10043が地球に対して真横を向けた位置関係にあるからです。

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影した渦巻銀河「UGC 10043」
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影した渦巻銀河「UGC 10043」(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Windhorst, W. Keel)】

UGC 10043は地球に真横を向けた「エッジオン銀河」の一例

このように真横から見える銀河はエッジオン(Edge-on)銀河と呼ばれていて、渦巻腕(渦状腕)がある銀河円盤に対して垂直方向に広がる構造を観測するのに適しています。画像のUGC 10043も、銀河バルジと呼ばれる星々が密集した中央部分の卵形の膨らみがどのような形をしているのかがよくわかります。

また、UGC 10043の銀河円盤は右上の端が上へ、左下の端が下へ向かうように少したわんでいるように見えますが、これは近くの矮小銀河と重力を介して相互作用したからではないかと考えられています。銀河どうしが接近すると潮汐力によって形がゆがんだり、渦巻腕が尾のように細長く引き伸ばされたりすることがあります。

この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」に搭載されている「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」と、かつて搭載されていた「広視野惑星カメラ2(WFPC2)」で取得したデータを使って作成されたもので、“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”としてESAから2024年11月18日付で公開されています。

ちなみにACSでの観測は2023年に行われましたが、WFPC2での観測はそれから23年も前の2000年に行われています。度重なるトラブルを乗り越えつつ今年で打ち上げ34周年を迎えたハッブル宇宙望遠鏡の長期間のミッションを象徴する画像のひとつと言えそうです。

 

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文・編集/sorae編集部

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