木星に似た太陽系外惑星のうち、恒星の至近距離を周回することで表面が高温に熱せられているものは「ホット・ジュピター」と呼ばれています。今回、表面温度が判明しているものでは最も熱いホット・ジュピター「KELT-9b」に関する研究成果が発表されました。

■昼側の温度は摂氏およそ4300度、水素分子も原子に解離

系外惑星KELT-9b(右)と恒星KELT-9(左)の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech)

はくちょう座の方向およそ670光年先にあるKELT-9bは、木星の3倍近い質量を持つホット・ジュピターです。太陽の約2.5倍の重さを持つ恒星「KELT-9」の周囲をおよそ36時間で1周してしまうほど小さな軌道を描いていることから、自転と公転の周期が同期する「潮汐固定」(潮汐ロック)の状態になっていると考えられています。

Megan Mansfield氏(シカゴ大学、アメリカ)らによる今回の研究では、KELT-9bの昼側の表面温度が摂氏およそ4300度夜側でもおよそ2300度に達していることが、NASAの宇宙望遠鏡「スピッツァー」を用いた観測によって示されています。昼側の温度は恒星並みの高温で、太陽系に一番近い恒星「プロキシマ・ケンタウリ」の表面温度(摂氏2800度ほど)を軽く上回るほどです。

研究チームによる分析の結果、KELT-9bの昼側の大気中では水素分子が分子の状態を保つことができず、高温にさらされることで水素原子に解離していることが判明しました。解離した昼側の水素は大気の循環によって移動し、2000度近い気温差がある夜側で再結合して水素分子に戻るとみられています。

Mansfield氏は、もしも水素分子の解離が起きていないと仮定すれば「風速毎秒60km(時速21万6000km)という猛烈な風が吹いていることになる」としており、おそらくそうではない(解離しているはず)とコメントしています。

■KELT-9bを観測したスピッツァー宇宙望遠鏡、間もなく運用終了

今回のMansfield氏らの研究で用いられたスピッツァー宇宙望遠鏡は、2003年8月の打ち上げ以来、赤外線の波長で宇宙のさまざまな天体を観測してきました。そのなかには地球からおよそ40光年離れた赤色矮星「TRAPPIST-1」を周回する7つの系外惑星も含まれています。

スピッツァーは赤外線での観測において支障となる機体の熱を冷却するために液体ヘリウムを搭載していましたが、2009年にヘリウムが枯渇したことで2つの観測装置が使用不能に。その後は冷却しなくても使用できる観測装置「IRAC」だけを使ったミッション(通称「ウォーム(温かい)ミッション」)を10年以上継続してきました。

宇宙の謎の解明に貢献してきたスピッツァーですが、1月30日をもって16年を超える運用に幕が降ろされます。スピッツァーの後継として赤外線観測を担う「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡は、来年2021年に打ち上げられる予定です。

運用を終える「スピッツァー」宇宙望遠鏡の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech)

 

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Source: JPL
文/松村武宏

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