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ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えた“露出した頭蓋骨星雲”こと惑星状星雲「PMR 1」

こちらは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の「NIRCam(近赤外線カメラ)」で観測した惑星状星雲「PMR 1」。

ほ座の方向、約5000光年先にあります。

まるで透明な頭蓋骨の中に脳が浮かんでいるような姿をしていることから「Exposed Cranium(露出した頭蓋骨)」星雲というユニークなニックネームを持つこの天体の神秘的な姿は、ガスと塵(ダスト)でできた雲によって作り出されています。

JWST(ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡)のNIRCam(近赤外線カメラ)で観測した惑星状星雲「PMR 1」(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, Image Processing: Joseph DePasquale (STScI))
【▲ ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のNIRCam(近赤外線カメラ)で観測した惑星状星雲「PMR 1」(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, Image Processing: Joseph DePasquale (STScI))】

寿命の終わりを迎えた星が描いた「惑星状星雲」

PMR 1は、超新星爆発を起こさない比較的軽い恒星(質量は太陽の約8倍以下)が、恒星進化の最終段階で周囲に形成する「惑星状星雲」と呼ばれる天体のひとつです。

太陽のような恒星は、晩年を迎えると主系列星から赤色巨星に進化し、外層から周囲へとガスや塵(ダスト)を放出するようになります。やがて、ガスを失った星が赤色巨星から白色矮星へと移り変わる段階(中心星)になると、放出されたガスが星から放射された紫外線によって電離して光を放ち、惑星状星雲として観測されるようになるのです。

PMR 1はNASA(アメリカ航空宇宙局)が2020年1月まで運用していたSpitzer(スピッツァー)宇宙望遠鏡によって、10年以上前に赤外線で初めて観測されました。今回、JWSTの高度な観測機器によって、その「脳」のような構造がさらに克明に描き出されています。

NASAやESA(ヨーロッパ宇宙機関)によれば、PMR 1は星の進化の異なる段階を示す複数の領域に分かれています。

うっすらとした殻のような一番外側の部分は主に水素で構成されており、星から最初に吹き飛ばされたガスだと考えられています。一方、その内側に広がる複雑な構造を持った雲は、さまざまなガスが入り混じったものです。

星がこのような姿を見せるのは、ダイナミックな変化が起こる恒星の寿命の終わり頃であり、宇宙のタイムスケールで見れば比較的短い期間です。

異なる観測波長で明らかになる星雲のダイナミックな構造

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のMIRI(中間赤外線観測装置)で観測した惑星状星雲「PMR 1」(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, Image Processing: Joseph DePasquale (STScI))
【▲ ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のMIRI(中間赤外線観測装置)で観測した惑星状星雲「PMR 1」(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, Image Processing: Joseph DePasquale (STScI))】

一方、こちらの画像はウェッブ宇宙望遠鏡の「MIRI(中間赤外線観測装置)」で観測したPMR 1です。中間赤外線の波長では宇宙の塵がより明るく輝くため、星雲内部の物質の分布が強調して映し出されます。

PMR 1の「脳」のような見た目をひときわ際立たせているのは、星雲の中央を縦に走る暗い帯状の構造です。まるで右半球と左半球を分ける溝のように見えます。NASAやESAの研究チームによれば、この暗い帯は中心星からの物質の強力な噴出(アウトフロー)に関連している可能性があるといいます。

通常、こうした噴出は正反対の2方向へ向かう双極ジェットとして起こります。実際にMIRIの画像では、星雲の上部や下部で内側のガスが外側に向かって激しく噴出しているような証拠を鮮明に読み取ることができます。

近赤外線の波長では、星雲のガスを透かして無数の背景の星々や遠くの銀河が輝いているのがわかるだけでなく、中央の暗い帯の構造もよりはっきりと認識できます。一方、中間赤外線の波長では、前述した星雲の上下で起こっている物質の噴出の様子が鮮明に捉えられています。宇宙を様々な波長の光で観測することは、宇宙の仕組みの全体像をより深く理解することに繋がるのです。

冒頭および本文中の画像はNASAやESA/Webbなどから2026年2月25日付で公開されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典