

11月、夏の暑さはすっかり影をひそめ、木々の葉が色づく季節となりました。空は透明感を増し、涼しい秋風の中で星々のきらめきを楽しむことができます。
秋が深まるこの時期、西の空にはまだ夏の大三角が見られます。夏の大三角は「こと座」のベガ、「わし座」のアルタイル、「はくちょう座」のデネブで構成される三角形です。多少、季節外れの印象はありますが、秋の空には明るい星が少ないため、ひときわ目立ちます。
一方、南寄りへ目を向けると、秋の目印である秋の四辺形が見られます。3つの2等星と1つの3等星からなる四角形で、秋の星座「ペガスス座」の胴体部分に当たります。

ただし、四辺形の北東側の2等星だけはペガスス座の星ではありません。「馬のへそ」を意味するアルフェラッツという名を持つこの星は、「アンドロメダ座」の頭の星です。アンドロメダは古代エチオピヤ国の王女の名前で、怪物ケートスのいけにえに捧げられました。その時の姿が星座になっています。
ケートスも秋の空で見つけることができます。秋の四辺形の東側2つの星を結び、地平線方向へ線を延ばすと2等星ディフダ(意味:2匹目のカエル)に結ばれます。ディフダは別名を「デネブカイトス」といいます。この意味は「くじらの尾」で、名前通り「くじら座」のしっぽに当たる星です。
このくじら座がケートスを象ったものです。
アンドロメダはケートスに捧げられましたが、英雄ペルセウスによって助けられました。
アンドロメダ座の北東側に、小さな星が漢字の「人」のような形に並ぶ「ペルセウス座」があります。ペルセウスはペガススに乗って駆け付け、ケートスに向けて魔力を持つメデューサの首をかかげました。その魔力によりケートスを石に変え、アンドロメダを救ったと語られています。
ペルセウスが持つメデューサの首、その額に当たる星はアルゴルといい、この名称は「悪魔」を意味します。アルゴルは2つの星がお互いに隠しあう「食変光星」で、2等星から3等星の間で明るさが変化します。
くじら座にも変光星があります。心臓に当たる星ミラで、これは「ふしぎなもの」という意味です。年老いた赤色巨星で膨張と収縮を繰り返す「脈動変光星」の代表例です。ミラは特に明るさの大きく変わる脈動変光星であり、明るさが最大になる時(極大)は2~3等星、暗い時は10等星ほどになります。次回の極大は2026年2月6日頃と予想されています。
目立つ星が少なくひそやかな印象を受ける秋の空ですが、壮大な神話に彩られた星座や、明るさの変わる神秘的な星々を見ることができます。秋の夜長、涼風に吹かれながら、ドラマティックな星空をお楽しみください。
※…星座や天体の見える方角や位置関係は2025年11月15日21時頃のものです

編集/sorae編集部























