こちらは「おとめ座(乙女座)」の方向にある銀河「NGC 4496」です。青色の輝きに彩られた渦巻腕(渦状腕)が包み込む銀河の中心部分は、中央とその下の2つに分かれているように見えます。
宇宙規模の偶然で描き出された光景
実はNGC 4496は単一の銀河ではなく、大きく見える上の渦巻銀河「NGC 4496A」と、その中にあるように見える下の渦巻銀河「NGC 4496B」に分かれています。紹介した国立天文台(NAOJ)は「双子銀河」と呼んでいます。
この宇宙では銀河どうしの衝突や合体はめずらしいことではなく、重力を介して相互作用している銀河のペアは数多く観測されています。しかし、NGC 4496の場合は相互作用しているのではなく、地球から見てたまたま同じ方向にある銀河が重なって見えているだけ。国立天文台によると地球からの距離はNGC 4496Aが約4700万光年、NGC 4496Bが約2億1200万光年とされています。
冒頭の画像は国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」に設置されている超広視野主焦点カメラ「Hyper Suprime-Cam(HSC、ハイパー・シュプリーム・カム)」を使って撮影されたもので、国立天文台から2024年12月19日付で公開されています。
- すばる望遠鏡が撮影 3重のリング構造を持つ“みずがめ座”の銀河(2024年11月21日)
Source
- NAOJ - 双子銀河 NGC 4496
文・編集/sorae編集部