ダークエネルギーカメラが撮影した「南の回転花火銀河」こと渦巻銀河「M83」

こちらは「うみへび座(海蛇座)」の方向約1200万光年先の渦巻銀河「M83(Messier 83)」です。M83は地球に対して正面を向けた位置関係にある、いわゆるフェイスオン銀河のひとつ。その姿から「おおぐま座(大熊座)」の「回転花火銀河」こと「M101(Messier 101)」と並び、「南の回転花火銀河(Southern Pinwheel Galaxy)」とも呼ばれています。

うみへび座の渦巻銀河「M83(Messier 83)」。別名「南の回転花火銀河(Southern Pinwheel Galaxy)」(Credit: CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA; Processing: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF NOIRLab), D. de Martin (NSF NOIRLab) & M. Zamani (NSF NOIRLab))
【▲ うみへび座の渦巻銀河「M83(Messier 83)」。別名「南の回転花火銀河(Southern Pinwheel Galaxy)」(Credit: CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA; Processing: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF NOIRLab), D. de Martin (NSF NOIRLab) & M. Zamani (NSF NOIRLab))】

20世紀に6個の超新星が観測されたスターバースト銀河

M83の渦巻腕(渦状腕)を彩るピンク色の部分は、大質量星の放つ紫外線によって電離した水素ガスが光を放っている「HII(エイチツー)領域」です。HII領域はガスと塵を材料に星が形成される星形成領域でもあり、新たな星が誕生する現場であることから“星のゆりかご”と呼ばれることもあります。

その幅は天の川銀河の半分に相当する約5万光年ですが、M83は天の川銀河よりもはるかに高いペースで新しい星を生み出すスターバースト(爆発的な星形成活動)が起きているスターバースト銀河として知られています。M83では1923年から1983年にかけて6個の超新星が見つかっていますが、超新星が残す超新星残骸は何十万個も存在すると考えられています。

この画像はチリのセロ・トロロ汎米天文台にあるブランコ4m望遠鏡に設置された観測装置「ダークエネルギーカメラ(DECam)」の観測データをもとに作成されたもので、アメリカ国立科学財団(NSF)国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)から2024年12月6日付で公開されています。

DECamはその名が示すように暗黒エネルギー(ダークエネルギー)の研究を主な目的として開発された観測装置で、画素数は約520メガピクセル、満月約14個分の広さ(3平方度)を一度に撮影することができます。当初の目的である暗黒エネルギー研究のための観測は2013年から2019年にかけて実施されました。

 

Source

  • NOIRLab - Dark Energy Camera Spies the Outskirts of the Swirling Southern Pinwheel Galaxy

文・編集/sorae編集部

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