ゆるやかな星の集まり。小マゼラン雲の散開星団を見てみよう
【▲ 球状星団「NGC 376」(Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Nota, G. De Marchi)】
球状星団「NGC 376」
【▲ 球状星団「NGC 376」(Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Nota, G. De Marchi)】

こちらは南天の「きょしちょう座」(巨嘴鳥座)の方向にある散開星団「NGC 376」です。NGC 376は地球から約20万光年離れた天の川銀河の伴銀河(衛星銀河)のひとつ「小マゼラン雲」(SMC:Small Magellanic Cloud、小マゼラン銀河とも)にあります。

散開星団は、数十~数百個の恒星がまばらに緩く集まっている天体です。画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)によると、NGC 376の質量は全体で太陽約3400個分ですが、その名が示すように結びつきは緩いため、最も高密度な部分でも個々の星を識別できるといいます。ちなみに、星団の種類には散開星団の他にも、数万~数百万個の恒星が球状に密集して集まっている球状星団があります。

この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡」に搭載されている2台のカメラ「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」と「広視野カメラ3(WFC3)」を使って取得された画像をもとに作成されました。ESAによると、ハッブル宇宙望遠鏡によるNGC 376の観測は小マゼラン雲にあるいくつかの星団に関する調査や、星の生涯についての根本的な疑問に答える研究のために行われたとのことです。

冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として、ESAから2022年12月5日付で公開されています。

 

Source

  • Image Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Nota, G. De Marchi
  • ESA/Hubble - Head in the Clouds

文/松村武宏